近年、メンタル不調による休職者が増加しています。厚生労働省が実施した調査によれば、1000人規模の企業では、1年以内に約10人がメンタル不調で休職。さらに復職後5年以内に約半数が再休職するというデータもあります。
身体的な問題と異なり、メンタルの問題は第三者から判別しにくいため対応に悩む企業も多いでしょう。メンタル不調の申し出があった際の留意点について、社会保険労務士が解説します。
メンタル不調に陥った社員を年代別で見ると、最も高い割合を占めたのは20代です。パーソル総合研究所が2024年に実施した調査では、過去3年間において「日常生活が困難なレベル」のメンタル不調の経験があった人の割合は20代男性で18.5%、20代女性で23.3%となりました。およそ5人に1人がメンタル不調を経験していて、男女ともに他の年代よりも高い数字となっています。さらに、20代社員のメンタル不調は離職に直結しやすく、メンタル不調が原因で退職した人の割合は35.9%と他の世代よりも高くなりました。
20代にメンタル不調が多いことは、挫折体験のなさや叱られたことがないZ世代の特性と捉えられそうですが、筆者は別の要因があると考えています。
人手不足により、以前と比べて採用時に求められる基準が下がっています。知名度が高い大企業や初任給で30万円以上などの好条件を提示できる企業を除けば、応募者が集まらなくなっています。
一定規模の会社では、採用計画を変更できないため、以前では内定を出さなかった応募者も採用する企業が増えています。実際、筆者が顧問をしている中堅ソフトウェア開発会社の人事担当者から「新卒の採用要件にあった大卒という枠を撤廃して、専門卒にも門戸を開いた」という話を聞きました。
もちろん、学歴や学生時代の成績と実務ができるかは合致しませんが、ソフトウェア開発者のような専門職の場合、関連分野の知識や素養がない人にとっては、入社後、人より努力をしないとついていけない状況になるでしょう。従って20代社員を中心とするメンタル不調は当面、続くように思われます。
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