――自身がリーダーだった頃、どのようにメンバーのモチベーションを高めていましたか?
基本的に私は「モチベーションに頼らずに動ける組織」を目指してきました。
やる気があるときは成果が出て、ないときは出ないという状態では、組織として不安定です。ただし、離職を防ぐためには意欲を高める工夫も必要です。そのために私が学んだのは、喋り上手より“聞き上手”のリーダーが、メンバーのモチベーションを高めるということです。
――具体的には、どんな声かけが効果的なのでしょうか?
大切なのは「会話の矢印を相手に向ける」ことです。つまり、「困ったことがあれば言ってね」や「最近どう?」といったテンプレ的な声かけは逆効果。
実際、2万3000人の20〜30代に行った匿名アンケートでも、こうした“適当な声かけ”はリーダーの行動として最も嫌われることが分かっています。例えば、「来週の資料作成の進捗(しんちょく)どう?」とか、「僕は週末サッカー見てたけど、君はどう過ごしてた?」のように、自分から心を開いて相手にも心を開いてもらう会話が必要です。
――現在は経営者として、また違った視点でリーダーシップを発揮していますか?
そうですね。リーダーというより経営者の立場ですが、組織として対話の質と頻度をどう保つかは非常に重要視しています。
最近では、パワハラやセクハラに関連する法整備により、上司が部下に声をかけるのも慎重になりすぎている傾向があります。でも、怖がって対話を避けると、チームの協働がうまくいかなくなり、メンバーのモチベーションも低下します。
だからこそ、正しい言葉選びを意識しながら、会話の回数を減らさないことが、現代のリーダーに求められる姿勢だと感じています。
越川慎司
日系通信会社、外資ベンチャーを経て2005年マイクロソフト米国本社入社。日本マイクロソフト役員としてExcel・PowerPoint事業責任者を歴任。2017年に働き方改革支援会社を設立し、のべ800社以上を支援。著書32冊・累計125万部。自社では週休3日・複業を実践。
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
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