企業倒産、12年ぶり5000件超え サービス業・小売業で「限界倒産」拡大

[コネムラメグミ，ITmedia]

　帝国データバンクが行った2025年度上半期（4〜9月）の「企業倒産件数」に関する調査によると、倒産件数合計は5146件（前年同期4990件、3.1％増）となり、上半期としては2013年度以来12年ぶりに5000件を上回った。

帝国データバンクは2025年度上半期（4〜9月）の「企業倒産件数」の調査を行った（提供：AC）

倒産件数　推移（出所：プレスリリース、以下同）

　半期ベースでみると、2021年度下半期の2978件以降、8半期連続の増加となり、2000年度以降では最長を記録した。

2025年度上半期（4〜9月）倒産動向

業種別では

　業種別にみると、7業種中4業種で前年を上回った。2000年度以降で最多となったのは「サービス業」で1348件（前年同期1312件、2.7％増）と、8半期連続で増加した。「小売業」は1120件（同1048件、6.9％増）と過去3番目に多く、「建設業」は1013件（同921件、10.0％増）で、上半期としては2013年度（1204件）以来12年ぶりに1000件を超えた。

業種別

　「不動産業」は155件（同141件、9.9％増）で、2024年度下半期と並び、過去10年で最多タイとなった。

　細分類では、「サービス業」で「教育」（18件）や「娯楽業」（78件）が全体の件数を押し上げ、特に職業訓練施設やフィットネスクラブの倒産増加が目立った。「小売業」では「飲食店」（451件）が上半期として2000年度以降で最多となった。一方、「運輸・通信業」では「運輸業」（217件）が全体を押し下げ、上半期としては5年ぶりに前年を下回った。

「不況型倒産」が増加

　主因別では、最多が「販売不振」で4215件（前年同期4100件、2.8％増）となり、上半期として2年連続で4000件を超えた。「売掛金回収難」は30件（同32件、6.3％減）、「不良債権の累積」は5件（同10件、50.0％減）と減少した一方で、「不況型倒産」の合計は4276件（同4171件、2.5％増）となり、8半期連続で増加した。

主因別

中小企業の「あきらめ型倒産」顕著に

　規模別では、中小零細企業の倒産増加が顕著だ。負債額「5000万円未満」は3204件（前年同期3017件、6.2％増）と2000年度以降で最多。「5000万円以上1億円未満」も727件（同722件、0.7％増）と、上半期として過去10年で最多を記録した。

負債額規模別

　帝国データバンクは、「2025年度下半期は、自動車関連業界や、2024年度上半期比で倒産増加が目立った建設業界を中心に動向が注目される」と指摘する。その上で、「コロナ禍をゼロゼロ融資で乗り切ったものの、物価高、価格転嫁の限界、人手不足、賃上げ対応に苦慮し、事業継続を断念するサービス業・小売業を中心に『あきらめ型倒産』が続く見通し。年度通期では1万件を超える可能性がある」と分析している。

　今回の調査は負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象とし、期間は2025年4月1日〜9月30日。