多くの企業が、社内コミュニケーションの課題に直面している。HR総研の調査によると、社内コミュニケーションの具体的な課題として、87%が「迅速な情報共有」を、78%が「部門間・事業所間の連携」を挙げた。特に深刻なのが、デスクワーカーとノンデスクワーカーの間に生まれる情報格差だ。
こうした課題に対し、アプリプラットフォーム「Yappli」(ヤプリ)を提供するヤプリ(東京都港区)は、10月に社内エンゲージメントアプリ「UNITE by Yappli」を抜本的にリニューアル。新生UNITE by Yappliは、社内コミュニケーションの格差をどのように是正し、従業員エンゲージメントを向上させようとしているのか。10月9日にヤプリ社内で行われた、UNITE by Yappliの戦略発表会の一部を紹介する。
ヤプリは創業以来、ノーコードでiOS、Android両方のアプリを簡単に作成できるサービスを提供してきた。当初はtoC向けで、顧客エンゲージメント目的のアプリが中心だったが、人材不足や従業員エンゲージメントの向上が求められるようになったことから、従業員向けアプリが大きく伸長した。
2023年には「UNITE by Yappli」をローンチ。最初の2年間は紙の社内報を置き換える位置付けでアプリを展開してきたが、今回のリニューアルにより新機能を多数搭載。企業と従業員の関係性を深め、従業員エンゲージメントの向上に寄与する仕組みを整えた。
リニューアルの背景となったのが、米国の心理学者であるエドワード・デシ氏とリチャード・ライアン氏が提唱した「自己決定理論」だ。同理論では、従業員が自発的に仕事に取り組む動機を高めるには、「自律性」「関係性」「有能感」という3つの基本的心理欲求を満たすことが重要だとされている。
自律性とは、自分の意思で行動を選択・決定できる感覚。関係性は、他者とのつながりを感じられる感覚。そして有能感は、自分の能力を発揮して目標を達成できる感覚を指す。ヤプリ取締役執行役員COOの山本崇博氏は「今回のリニューアルでは、この3つの要素を満たすことで、従業員が自ら動き出す組織づくりの一助となることを目指しました」と語る。
こうした社内アプリの進化は、日本だけの動きではない。海外に目を向けると、同様のトレンドが急速に広がっているのだ。
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