現在海外では、社内アプリが急速に普及している。英国の調査会社YouGovは、2025年2月に米国、ドイツ、英国など6カ国の3574人を対象に大規模なアンケートを実施。「コミュニケーションの断絶」が大きな課題となっていることが分かった。デスクワーカーとノンデスクワーカーを比較すると、社内コミュニケーションの質や情報に対する満足度が、ノンデスクワーカーの方が20ポイント近くも低くなっている。特に製造業では、情報伝達の不十分さを感じている人が、40ポイント近くも多くなった。
これらの調査結果から、ノンデスクワーカー向けの新しい情報発信手段が求められていることがうかがえる。実際に欧米では、ベルギーのAudi Brusselsや英British Airwaysといった企業が社内アプリを導入し、従業員エンゲージメントが向上しているという。
では、日本企業における従業員エンゲージメントの現状はどうなっているのか。UNITE by Yappliのプロジェクトリーダーを務める古屋陽介氏は、従業員エンゲージメント向上を妨げる「3つの壁」を指摘する。
第一に「情報伝達の壁」だ。勤務地や勤務時間、配布端末によるデバイス格差、社内ツールの乱立による情報迷子といった壁により、会社の情報が全社員に届かないという情報格差が存在する。
第二に「社員間の壁」だ。リモートワークの普及などを理由に、社員のつながりが希薄化。部署を超えたつながりも減少している。第三に「学びの壁」だ。学習や育成の仕組みが変化する業務に対応できず、知識共有や学習が非効率になっている。結果として、社員の自律的な成長を妨げている。
メールやイントラネット、社内報など、社内コミュニケーションチャネルは複数ある。そうした中、なぜ社内アプリが効果を発揮するのか。古屋氏は「情報の接触を増やすため、マルチチャネルでの展開が重要だ。その中でも、社内アプリはいつでもどこでも見られる、かつ、プッシュ型のメディアで、届けたい情報を的確に社員に届けられる」と説明する。
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