1966年創業のYUDAミルクは、岩手県産の生乳を使った牛乳や乳製品の製造・販売を手がける。開発者自身が「心からおいしい」と思えるヨーグルトを作ろうと、原材料や製法にこだわった「プレミアム湯田ヨーグルト」を2009年に販売したが、しばらくは認知度が低迷していた。
認知上昇のきっかけは、2018年からのコストコでの販売だ。東北の2店舗から始まり、取扱店が増えていくとSNS上で「おいしい」という口コミが広がるようになった。そのうち、他のスーパーからも「扱いたい」と依頼が舞い込むようになったが、製造キャパシティの問題から供給できない状況が続いていた。
しかし、その後、製造効率の見直しを図るなどして供給先を拡大。イオン、サミットストア、オーケーなど大手スーパーの一部店舗でも販売されるように。2023年からは、ドンキでも取り扱いが始まった。2024年の同製品の出荷数は、21年比で10倍以上に増加したという。
「2021年12月にパッケージをリニューアルして、取り出し口を大きくしてスプーンですくいやすくしたほか、当社キャラクターを前面に押し出したデザインにしました。最近は、テレビやWebなどのメディアで紹介されることも増えています。そして、それを見た小売業者から依頼があり、また供給先が増えるという状況ですね」(YUDAミルク 沢尻氏)
評価されているポイントは、もっちり食感と牛乳の濃厚なコクがありながら、すっきりとした後味だ。同製品の開発担当者は子育てをしていた女性で、「酸味が苦手な子どもでもおいしく食べられるように」と、極力酸味を抑えて後味が残らないすっきり感を目指したという。
こうした特徴は、他社のヨーグルトでも見られる。例えば、15年以上のロングセラーとなっている岩泉ホールディングス(岩手県岩泉町)の「岩泉ヨーグルト」(1000グラム、希望小売価格910円)も、もっちり食感と独特の粘り、すっきりとした後味を打ち出している。特徴は似通っているが、沢尻氏いわく、各社の製品には微妙な味わいの違いがあるという。
「ヨーグルトは、乳脂肪分の割合や乳酸菌の種類、発酵時の温度や時間で食感や味わいが変化します。個人的な感想では、酸味の残し方は各社で少し異なるのかなと。『あの酸味があってこそヨーグルトだ』という人もいますし、酸味や食感は好みが分かれるところですね」(沢尻氏)
プレミアム湯田ヨーグルトは、スーパーやディスカウントストアのほか、自社ECサイトでも販売しており、主な顧客層は40〜50代の女性だ。ふるさと納税の返礼品としても扱っていて、YUDAミルクの所在地である西和賀町では、プレミアム湯田ヨーグルトが最大の財源になるほど好調だという。
ドンキは本当に最強なのか? 地方スーパーが突きつける“一強多弱”の限界
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
ドンキ「152円ビール」じわり人気 “地味過ぎる”見た目になった深いワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング