ハワイであえてカプセルホテル? 稼働率じわじわ上昇、85%の意外な理由インタビュー劇場(不定期公演)(2/5 ページ)

» 2025年10月28日 08時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

社内からは「難しいのでは?」の声

土肥: ファーストキャビンのカプセルホテルが今年の5月にハワイにオープンしました。「えっ、リゾート地にカプセルホテル? なぜ?」と思ったのですが、そもそもハワイでの営業はどのようなきっかけで始めたのでしょうか?

山口: 物価高、円安、コロナ禍などの影響で、日本からハワイに行く人が減少しました。こうした状況の中で「日本とハワイの”架け橋”のような施設をつくれないか」という発想から、カプセルホテルをオープンしました。

 正直に言うと、社内からは「難しいのでは?」という声もありました。ただ、地元の人からは好意的な声があったんですよね。ハワイにはカプセルホテルがなかったので、「どんな宿泊施設なのか」「安く泊まれるのであれば、うれしい」という意見がありました。

ラウンジ

土肥: これまでになかったということを考えると、オープンするまでいろいろ大変だったのでは?

山口: ものすごく大変でした。日本のカプセルホテルは、ホテルではなく、簡易宿泊営業にあたるんですよね。さまざまなルールがあって、例えば、部屋にカギを付けてはいけません。ハワイにはカプセルホテルがなかったので、カギを付けていいのかどうかも議論になりました。結果、部屋の外からは施錠できませんが、中からは施錠できるようにしました。

 あと、日本の場合、壁と天井で完全に囲んでしまうと、「個室」扱いになるので、旅館やホテルになってしまう。個室にしてはいけないので、上部や入口の一部に開放部や空間を設ける必要があるんですよね。

土肥: 確かに、日本のカプセルホテルの場合、少し空間がありますよね。……あれ? ハワイのカプセルホテルにも、入口の上部に空間がありますが、これはなぜ?

山口: 米国の場合、個室にしても大丈夫なんです。ただ、電気系統の関係で、部屋にファンを設置できませんでした。室内の空気がこもらないように、通気用の空間を設けました。日本とハワイの部屋を比べると、同じように見えますが、その意味は違うんですよね。

 あと、日本の場合、男性用・女性用の部屋を分けています。シャワーもトイレも別々にしているのですが、ハワイでは「同じにしてほしい」と言われました。防犯などのことを考えると、同じにするわけにはいきません。女性が利用するカプセルの隣や上に男性が宿泊するといった配置は、日本では考えられないですよね。

 米国ではジェンダーの考え方が違うので、「同じにしてくれ」という指摘がありました。ただ、セキュリティ面などで「別々にさせてくれ」と何度も説明すると、納得してくれまして。いまでは、男女別々の設計でオープンしています。

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