そんなIT人材がどこに住んでいるのか、可視化してみましょう。
まず、市区町村単位で見てみましょう。総務省統計局「国勢調査」のデータを用いて、25〜34歳の就業者に占める IT人材の割合を東京23区で比較したのが図2です。全国平均が3.9%であるのに対し、23区平均は11.2%と非常に高くなっています。区別に見ると、最も高いのは中野区(14.5%)で、最も低いのは中央区(8.7%)。不動産価格が極端に高い都心3区よりも、その周辺に多く住んでいるのがIT人材の特徴です。
次に、より解像度を上げて町丁目単位で見てみましょう(図3)。ここで一つ注意点があります。町丁目レベルの詳細なデータでは、残念ながら「IT人材」にぴったり合致する職業別のデータが公開されていません。そこで、ここでは代理的な指標として、国勢調査の産業分類から「情報通信業」で働く人々に着目します。これにはシステム開発などのIT産業に加え、放送・出版といった業種も含まれますが、IT専門職が多く働く産業として、大まかな居住傾向をつかむことができます。
東京近郊で特に情報通信業の従業者が多く住んでいるのが、中野から明大前、下北沢、三軒茶屋にかけての(1)「山手線西側エリア」。新宿や渋谷といった勤務地へのアクセスが良く、特に若手の単身者に人気です。また、渋谷や恵比寿、目黒、五反田、品川などに近接する(2)「目黒区、品川区エリア」、そして都心や豊洲、晴海へのアクセスに優れた(3)「都心東側エリア」にも情報通信業の従業者が多く住んでいます。
郊外では、JR南武線沿いの(4)「武蔵溝ノ口〜武蔵小杉〜川崎エリア」が目立ちます。この沿線には大手電機・IT 企業の事業所が多いため、職住近接者が多いかと思いきや、実際にはこのエリアに住む情報通信業従業者の8割以上が23区内に通勤しています(川崎市高津区、中原区、幸区のデータより)。
東京都生まれ、神奈川県育ち。データ可視化職人。民間企業でビッグデータの利活用に従事するかたわら、個人活動としてオープンデータや公的統計の可視化、地図アプリの作成に注力し、日本や世界の「いま」が一目でわかる作品を多数公開している。主な活動歴は、国土交通省『3D 都市モデルの整備・活用促進に関する検討分科会』、内閣官房『データ分析セミナー』、東京都『第1回オープンデータ・ラウンドテーブル』『オープンデータコミュニティ』、国土交通省『地理空間情報課ラボ スペシャルサポーター』など。X(旧Twitter)のアカウント名は「にゃんこそば・データ可視化(@ShinagawaJP)」(フォロワー数:7.5万人)。官公庁、民間企業などでの講演歴多数。著書は『ビジュアルでわかる日本』(SBクリエイティブ)。
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
「年収1500万円」の人が住んでいるのはどこ? 東京23区だけではありません
「有名チェーン店」が店を出す駅、出さない駅を可視化してみた
「駅別マンション価格」を可視化したら、住みたい街が見えてきたCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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