貴州省銅仁市政府は2017年に「貴茶集団」(Gui Tea Group)という茶の生産から販売まで一貫して手掛ける企業を誘致、世界最大の抹茶専門工場を建設した。例えるのなら、宇治にサントリーが抹茶専門工場を建設するようなものである。
そんな“抹茶シフト”を進めた結果、銅仁市の抹茶販売量は1200トンを超え、生産高も日本円換算で約57億円に達した。今後は、抹茶の原料である「てん茶」の生産量を年内に1750トン以上、2026年には2200トン以上とする目標を掲げている。最新のデータでは、中国全体の抹茶生産量は5000トンを超えているという。
農林水産省によると、2024年の日本全国のてん茶生産は約5300トンなので、この勢いでいけば中国に追い抜かれる日も遠くない。
ここまで生産体制を強化すれば、中国市場だけでなく世界を目指すのは当然だ。銅仁市の輸出先には、米国やカナダなど40以上の国・地域が並び、日本もその一つに含まれている。
日本の「安くておいしい外食」が中国産食材をはじめとした多くの「安い外国産原料」に支えられているのは周知の事実だが、実は一部の抹茶ラテや抹茶スイーツにも中国産が使われている。さらに驚くべきことに、中国の国営通信社・新華社通信によると、「茶道」の場でも使われているらしい。
陳副総経理によると、今年は日本向けにさらに6トンを輸出する計画という。中国産の抹茶が日本の茶道に新風を吹き込み、日中茶文化交流に新たな輝きをもたらしている(新華網日本語 2025年5月21日)
中国メディアの言うことなど信用できないという人もいるだろうが、「伝統文化」こそ中国依存が深まっている、というのはこの界隈の人ならば皆知っている「日本あるある」だ。
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