本稿で紹介した3ステップは、何も生成AI時代特有のものではない。むしろいつの時代でも必要とされてきた、仕事における普遍的なステップだ。生成AIのリスクは、この普遍的なステップを「省略できる」と誤解することにある。
AIは、問いを立て、広げて疑い、相手視点で伝えるという3つの思考プロセスをスキップできるものではない。むしろ各ステップをこれまで以上に深く掘り下げて、検討するために能力を拡張してくれるものだ。
AIは使い手の意図次第で、役割を柔軟に変えてくれる。ときには一緒にアイデアを考えてくれる同僚的な存在に、ときには思考のトレーニングパートナー、メンター的存在にもなる。さらには上司などの決裁者を模擬的に演じられる。
人に仕事を任せるとき、私たちは「なぜこの人に任せるのか」「どんな価値を期待するのか」を事前に考えているものだ。しかし、相手がAIになると、途端にその“意図設計”を省いてしまいがちだ。どんな役割も柔軟に演じられるAIを相手にするからこそ、どの場面で、何を拡張したくて、どうAIを関与させるのかを意識的に設計する必要がある。その積み重ねこそが、AI時代における新しい「思考の習慣」を生み出すのだ。
AIを通じて、自分の思考をどう鍛え、どう広げるか。その問いを持ち続けることが、これからのビジネスパーソンに求められる。
株式会社ディープコア KERNEL事業部 部長 Director, Community & Venture Growth
ソフトバンクで採用・人事企画を経て、2018年よりDEEPCOREに参画。同社の人事全般を統括しつつ、投資先AIスタートアップの採用・組織開発等のHR支援を推進。2023年にスタートアップキャリアコミュニティ「LINKS by KERNEL」を設立し、約500名の会員にキャリア支援を提供。起業家やスタートアップ参画希望者に対し、コーチング等の支援を行う。スタートアップを主な対象に、組織開発・チームビルディングの講演・研修・ワークショップなどを実施。現在はAI特化型インキュベーション拠点「KERNEL」の事業部長として、起業支援および投資先スタートアップ支援を推進。
BCS認定ビジネスコーチ、米国Gallup社認定ストレングスコーチ。
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