金融業界も「金」で集客を図る。投資信託の運用会社は信託報酬を獲得するため、時事テーマに沿ったさまざまなテーマ型投資信託を作り出しており、近年は金を組み合わせたファンドも現れた。従来のように金価格との連動を目指す商品ではなく、金と株を組み合わせた商品が目立つ。
日興アセットマネジメント(現アモーヴァ・アセットマネジメント)は2022年8月31日に「Tracers S&P500 ゴールドプラス」を設定した。米株指数「S&P500」および「金」との連動を目指す商品だ。1万円の購入額で、実質的に1万円分の米株と1万円分の金に投資できる。1万円で2万円分の商品に投資するレバレッジ型商品である。
この1月には「Tracers NASDAQ100 ゴールドプラス」を設定した。Tracers S&P500 ゴールドプラスと同類の商品であり、連動を目指す米株指数としてS&P500の代わりにNASDAQ100を用い、レバレッジ型である点は共通している。EVが沸けばEV関連株、AIならAI関連株と、金融業界は時節に合わせてテーマ型の投資信託を生み出してきた。金価格高騰が続く場合、金がテーマの新たな投資信託が今後も現れてくるかもしれない。
人類がこれまでに採掘した金の総量は20万トン弱で、今でも年間約3000〜4000トンが採掘され、さらに1000トンほどがリサイクルで供給される。ここに、昨今の株高や不動産価格の上昇と同様、コロナ禍以降に政府がばらまいたマネーが行き着いた結果の高騰であり、短期的には価格がピークアウトすることも考えられる。下落局面になった場合、金をテーマとする新商品の発売は下火となるだろう。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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金高騰は「バブルではない」? 世界の中央銀行が“金争奪戦”を続けるワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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