ハーバード・ビジネススクールのボリス・グロイスバーグらが、ウォール街の投資銀行で働く1000人以上のアナリストを対象に実施した調査で、個人のパフォーマンスは個人の能力ではなく、「同僚との関係性」に支えられていることが分かっています。職場のメンバー同士が信頼し、お互い敬意を払っている環境で働いている人は、成績が極めて高く、職場の“スーパースター”でした。
ところが、その腕を買われ転職した途端、星の輝きは瞬く間に消え、ただの人に成り下がりました。会社とはCOMPANY、つまり共にパンを食べる仲間です。どんなにすばらしいスキルや経験、実績があっても、共につながらない限り、その能力は引き出されません。
それは同時に「共感」であり、「信頼」をつなぐこと。そのためには共に過ごし、相互依存関係を構築し、重要な情報やスキルを共有する時間が不可欠です。互いに刺激しあうことで自分の能力も引き出されていくのです(参考文献:『The Risky Business of Hiring Stars』by Boris Groysberg, Ashish Nanda and Nitin Nohria)。
日本企業はこれまでも、「空いた穴」を埋めるために中途採用を行なってきました。しかし、私が知る限り、うまくいっているケースは極めて少数です。組織に適応できず、自分の存在意義を失ってしまったり、期待に応えようと頑張れば頑張るほど、周りと軋轢(あつれき) が生まれ孤立してしまったり。中には「あっちの方が給料がいいから」と、1年もたたずに辞める人もいました。
中途採用の離職率に関する調査結果は多く、中でも「入社後約1年以内」で約20〜40%が離職するというデータが目立ちます。マイナビが2023年6月以降に転職活動をした人を対象に実施した調査では、転職経験者のうち「9.5カ月以内」の離職を経験している人は40.8%で、早期離職者が増加傾向にあることも分かっています。
と、あれこれデータやら調査結果やらを羅列しましたが、これらの調査が一貫して示すのは、ただ穴をピース=即戦力で埋めることの“無理ゲー”っぷりです。
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