2025年の世界の生成AI市場規模は約1.5兆ドルに達する見込みだという。2024年の約1兆ドルから1.5倍の成長であり、2026年にはさらに2兆ドルに達するとの分析もある。
トップを走り続ける米OpenAIを追う中国の新興勢力が話題を集め、米国一強かと思われていた生成AI市場に激震を与えた。2025年に起きた“AIバブル”とも呼べるこの現象は、来年以降も続くのだろうか──。
市場拡大が続く一方で、「AIバブルは頭打ちではないか」という見方や、ビッグテックの投資が過剰になるリスクへの懸念も浮上している。
こうした状況について、音声解析AIなどを手掛けるRevComm(東京都千代田区)取締役 執行役員 リサーチディレクターの橋本泰一氏は「過剰投資になる可能性はあるものの、主要プレイヤーは辞められない状況にある。黒字化よりも普及を優先する状況は当面続き、技術革新と並行して持続可能性を担保できるかが焦点となる」と指摘する。
巨額資本が飛び交うグローバルな開発競争において、日本企業は生成AIとどう向き合うべきか。同社が12月4日に開催した「生成AI勉強会〜生成AIの2025年総括と2026年予測/世界の主要モデル機能進化・日本企業の勝ち筋予測〜」の内容を基に、紹介する。
2025年の技術トレンドを俯瞰すると、テキストだけでなく画像、音声、動画を統合的に扱う「マルチモーダル化」や、人が都度指示を出さずともAIが自律的にタスクを処理する「AIエージェント」の台頭が目立った動きとしてあった。
こうした技術進化を支える「モデル開発」の領域では、OpenAI、Google、Anthropicの主要3社に加え、新たな勢力が急速に存在感を高めている。
OpenAIがモデルの総合力と製品連携の広さで依然トップを走る一方、Googleは自社サービスとの連携やマルチモーダル基盤で猛追している。また、Anthropicは安全性や企業導入への適性に強みを持ち、コーディング支援などの特定領域で支持を集めている。
そして2025年に飛躍的に成長したのが、イーロン・マスク氏率いるxAIや、DeepSeek、Alibabaといった新興勢力だ。xAIはSNS「X」とのリアルタイム連動、中国発のDeepSeekはコスト効率重視のアプローチなど、各社独自の強みを打ち出している。
米国と中国の企業が開発競争をリードする一方で、無視できないのが「規制」を巡る動きだ。技術的な進展だけでなく、AIによる偽情報や権利侵害のリスクに対し、どのように安全・安心な社会を構築するかという視点も重要になっている。欧州(EU)では厳しい規制やガイドラインを設ける動きが進んでおり、今後の法整備やルールの在り方において重要な指標になるだろう。
モデル開発競争は「性能向上」だけでなく、「コスト効率」や「特定領域への特化」、さらには「安全性・コンプライアンス」といった多軸での争いへとフェーズが移行している。
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