アルファードは登場当初から人気車だった――そう思われがちだ。だが実際は、Lサイズミニバンの先駆者である日産エルグランドに対抗するモデルとして2002年に登場したものの、発売当初の人気は限定的だった。
確かにハイエースにはない高級感や快適性は魅力的ではあったが、異形ヘッドランプとフロントグリルを組み合わせた上品な大型ミニバンであり、当時は薄いヘッドライトを二段に重ねてインパクトのある顔つきにした兄弟車ヴェルファイアの方が人気が高かった。
人気が爆発したのは、先代の3代目モデルが2015年に登場してからだ。プラットフォームを一新し、ボディ剛性を高めるとともにリアサスペンションをマルチリンク(トヨタはダブルウィッシュボーンと呼んでいる)化することで、大柄な車体ながらも乗り心地とハンドリング性能を大幅に向上させた。
しかし人気の要因は、そんな機能面や走りの改善ではない。高級かつインパクトのあるフロントマスク、風格を感じさせる“顔つき”こそがヒットの原動力なのである。
しかも、3代目も当初から爆発的なヒットとなったわけではない。従来モデルとそれほど変わらなかった売れ行きが変化したのは、登場から2、3年たってからだ。街で新型のアルファードを見かけるようになり、その迫力ある顔つきによって前走車や対向車のドライバーが購買意欲をそそられたのである。
そして残価設定クレジットという“打ち出の小づち”を使い、高い残価設定を実現することにより、アルファードは飛ぶように売れ始めたのである。
セダンが売れる時代はもう来ないのか クルマの進化で薄れていく魅力
クルマの“顔つき”はどうやって決まる? デザインに表れる思惑とは
スマホの「ながら運転」をどうやめさせるか カーナビの功罪とメーカーの対策
残クレのゴリ押し、ボディコーティング……車ディーラーはどうやって儲けているのか
BYDの軽EVは日本で売れるのか 苦戦が予想される“これだけの理由”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング