西武池袋本店はなぜデパ地下を刷新したのか 再編の先に透けて見える百貨店の行方(4/4 ページ)

» 2025年12月22日 08時00分 公開
[谷頭和希ITmedia]
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デパ地下は「最後のとりで」?

 その一方で、こうした動きに不安要素も見え始めている。インバウンド需要の伸び悩みだ。

 2025年9月の百貨店売上高を見ると、インバウンド売上は前年比0.3%減となり、7カ月連続の減少となった。2025年10月に8カ月ぶりにプラスに転じたが、決して安泰とはいえない。円高傾向による買い控えが主な要因とされており、それに引きずられる形で売り上げも減少している。

 考えてみると、売り上げの柱をインバウンドに大きく依存する状態は、構造的に不安定だ。為替の変動、国際情勢、感染症や戦争といった外的要因は、企業努力ではコントロールできない。好調に見える百貨店も、実は非常に不安定な、細い柱の上に立っている状態なのである。

 このような状況を踏まえると、西武池袋のリニューアルが長期的に成功するかどうかは、決して楽観視できない。

 では、なぜ百貨店はデパ地下にこれほど力を入れるのか。

 おそらく、「現地で選ぶ体験」そのものが価値になるからだろう。ECやコンビニ、スーパーで食品を選ぶのとは違う体験価値を生み出しやすい。そこに「百貨店らしさ」が宿っていると、筆者は考える。

西武池袋のデパ地下(出典:西武池袋本店の公式Webサイト)

 この点において、百貨店のデパ地下は他の業態に代替されにくい数少ない領域だ。

 デパ地下強化は百貨店再生の切り札となるのか。それとも、変化の激しい消費環境の中で淘汰(とうた)されてしまうのか。

 筆者としては、今回刷新されたデパ地下は、もっと「わざわざ足を運びたい」と思える特別な空間にすべきだと感じている。このリニューアルがどう転ぶのか。そこから、百貨店の今後の可能性も見えてくるかもしれない。

著者プロフィール・谷頭和希(たにがしら かずき)

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材などを精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。講演やメディア露出も多く、メディア出演に「めざまし8」(フジテレビ)や「Abema Prime」(Abema TV)、「STEP ONE」(J-WAVE)がある。また、文芸評論家の三宅香帆とのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」はMBSラジオポッドキャストにて配信されている。


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