企業の新商品・サービスの挑戦を支援するプラットフォーム、Makuake。ここでは日夜、新たなコンセプトを持った商品が企画され、ユーザーの厳しい目にさらされている。多くの支持を集めた商品にはどのような特徴があるのか。本連載では既に終了したプロジェクトを振り返り、成功の要因からプロダクト開発の近未来を探る。
株式会社マクアケ キュレーション局 キュレーター
外資系コンサルティングファームを経てMakuakeへ参画し、1000件以上の新商品プロジェクトを支援。
東京都が運営する中小企業支援機関にて商品開発の講師も務め、民間と公的の両面から事業成長に携わる。
2025年10月より「Makuakeインサイト」事業の立ち上げに参画。
今年大きな問題となった米不足。現在は一定の落ち着きを見せているものの、依然として店頭価格は高止まりしています。「令和の米騒動」と呼ばれたこの現象は「主食はいつでも当たり前に手に入る」という、私たちの前提を揺るがすものでした。
こうした折、にわかに注目を集めたのが「家庭用精米機」の存在です。玄米を安く購入し、家庭で精米できれば、おいしいご飯を手軽な価格で食べられるようになるためです。
このブームは応援購入サービス「Makuake」でも起き、家庭用精米機「i-rice」が3時間で1000台売れるヒット商品となりました。
山本電気(福島県須賀川市)という、長年業務用精米機を手掛けてきた同社の商品は、「砕米率2%以下」「低温精米による米の酸化軽減」「無洗米モード対応」など、高い精米精度を誇ります。シンプルな外観デザインも相まって、キッチンを選ばず設置できる点も支持されました。
ただし、i-riceが支持を集めた理由は、単なるスペックの高さだけではありません。
米不足によってより安く、よりおいしく米を食べる方法を模索する中で、生活者は「精米」の価値を再認識しました。
精米したての米は香りや甘みが際立ちます。白米、胚芽米、無洗米と、家族の好みや食事内容に合わせて精米度を選べる点も魅力です。炊く直前に、必要な分だけ玄米から自宅で精米するという提案は、新しいライフスタイルの提案にもなりました。
「高価な新米を買う」か「古米で妥協する」かという二者択一ではなく「味も鮮度も自分でコントロールする」という第3の選択肢が浮上したことになります。
これまで精米機は「玄米好きのマニア向け」という位置付けでした。しかし今回の米騒動を契機に「どうすれば賢く、安く、おいしい米を確保できるのか」という切実な問いが広がり、その存在価値が一気に高まりました。
防災というニーズも見逃せません。酸化しにくい玄米を備蓄し、必要な分だけ精米することで、フードロス削減や災害時の備えとしても機能します。山本電気は、精米機の魅力を広く伝える取り組みを通じて、生活者の共感を集めました。
時代の変化によって生じる「違和感」や「当たり前とのズレ」を的確に捉え、それに応える価値提案ができるかどうか。そこに、新たな市場を見いだすヒントがあるのかもしれません。
「コメのサブスク」に人気集中 固定価格で安定供給、農家にも恩恵
小岩井乳業「マヨネーズのように搾るヨーグルト」はなぜ生まれた? ヒット商品の背景に「シーンの再定義」
カセットガスで「暖炉のある暮らし」に 開発者の執念がヒット商品に
「差せないストレス」を解消せよ サンワサプライの“電源タップの常識破り”とは?
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング