自社でそろえているプロジェクトオーナーの頭数は、すなわちその下に適当な作業者をぶら下げることで、社として同時に展開することのできるプロジェクトの数/広さに直結します。そして、その部分は外注することができない(しても良い結果にならない)のです。
プロジェクトオーナーたることは対コンサルのみならず、AIによる業務侵食に対しても強力な防波堤となります。
業務で生成AIを使用したことのある方は分かるかと思いますが、AIのアウトプットの信頼性/信憑(ぴょう)性はまだ独力で業務を任せられる水準には至っていません。彼らはある意味非常に人間的で平然とウソをつきますし、ごまかしもします。現段階ではあくまでも最終的に内容を点検/補完する人間がいて初めてワークする業務補助具のようなものに過ぎません。
一人のチェッカー(オーナー)と9人の作業者の計10人でやっていた仕事にAIを導入することで、作業者9人は削ることができるかもしれません(というかすでに削られつつあります)。一方でオーナーの一人はまだなくすことができないのです。
ではAI/外注も代替することができないオーナー、リーダーの資質とはなんでしょうか。それは業務全体の構造を正しく理解してタスクを整理し、上がってきたアウトプット、あるいは外部情報の真贋(しんがん)を見極め、重要なドライバーとして、見落とすと危険な勘所を見極める力があり、プロジェクトを設計から完遂まで導けることにあります。
そのような能力は長年の業務経験とそれを構造化していく取り組みの中でのみ暗黙知を中核にして育まれます。これが私がコツコツと真面目にサラリーマンを続けることが最もメリットが大きいと主張する理由でもあるのです。
これは従業員の視点からは、もし生き残りたいのであれば結局は人を動かせる「マネジャー」や「リーダー」と言われる職位を目指すしかない、ということになります。
若い頃は「平均の3倍売る営業」のようないわゆる凄腕のスタッフをこそすごいように感じていましたが、この年になると「それは良いことではあるけど、所詮は平均より少し良い程度の話であって、社全体の規模で見れば小さな話だな」と思うようになりました。
詰まるところ、人一人の力なんてものは大したこともなく、会社組織においては複数の職能を持つ人間が分業して作業を行って初めて注目に値する成果を出すことができる。そのような構造である以上、大きな仕事をしたいのであれば、誰もその業務の核たるリーダーになることからは逃げられないということです。
(カブシキガイシャイタバシ トウキョウチュウオウシテン)
板橋区出身。慶應義塾大学卒。現在は私文ホワイトカラー(マネージャー)。
趣味は喫茶店巡り。
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