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モスの人気バーガーが「肉を減らしたのに、販売数180%に伸びた」ワケ “意外な顧客ニーズ”とは(2/2 ページ)

» 2026年01月07日 07時00分 公開
[中根ほづ美ITmedia]
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プロダクトアウトの限界――モスが踏み切った組織改編

 顧客ニーズを捉えた商品を開発しているモスフードサービスだが、開発体制はどのようになっているのか。

 同社ではもともと、「おいしい商品を作れば顧客は食べてくれる」という考えに基づいて「プロダクトアウト」型の商品開発を主流としていた。しかし、2019〜2020年に「マーケットイン」の考え方を導入。2020年度にはマーケティング機能と商品開発機能を「マーケティング本部」に集約した。

 その後、マーケティング人材のスキルが向上し、本部として独立可能なプロフェッショナル集団となったことから、現在は「マーケティング本部」と「商品本部」に分かれて活動している。

 「組織は別れましたが、プロダクトアウト型に戻ったのではなく、むしろマーケットインは強化しています。一方で、『モスバーガーとしてこういう商品を届けたい』という強い意志も非常に重要。お客さまからの要望の実現と、モスバーガーとしての意志のバランスを見極めていく必要があります」(目黒氏)

 そのためには、以下の3つの組織が連携を取ることが肝となり、実際に3組織が密にコミュニケーションを取りながら商品を開発していると同氏は話す。

  • 商品本部:実際に商品を形にする
  • FC事業本部(旧営業本部):店舗の声を聞き分析する
  • マーケティング本部:顧客の声や顧客データを分析する

 

デジタル分析プラットフォーム導入、その効果は?

 「顧客の声や顧客データを分析する」という役割を果たすために、マーケティング本部が現在注力しているのがデジタルデータの活用だ。

 従来同社では、お客さま相談室に寄せられる声や消費者調査により、顧客の声を集めて分析していた。しかし、デジタル接点の多様化が進んでいることに加えて、2025年3月に実施した商品方針発表会では「従来のテレビCM中心だった訴求ではなく、1to1マーケティングを推進する」と発表。この方針を加速させていくためにも、デジタルデータの活用は急務となる。

 データ活用を推進する一環として、マーケティング本部はデジタル分析プラットフォーム「Amplitude」を導入した。

 活用を進めているデジタルマーケ&CRMグループの須藤一樹氏は、「以前は公式サイト、モバイルアプリ、オンライン注文など、個々の顧客データが分断されている状態でした。また当社には複数の会員システムがあり、それらが一元管理できていないのも課題でした」と話す。

 「Amplitude」は接点ごとの顧客データを一元的に分析。データサイエンティストのような専門知識のある人材でなくても、直感的に使用しやすいUIを備えている。

photo03 (写真左)モスバーガー マーケティング部 部長 目黒広朗氏、(写真右)同部 デジタルマーケ&CRMグループ チーフリーダー 須藤一樹氏(編集部撮影)

 導入後、すでに新たな気づきも得られている。「アボカドバーガー」などの期間限定商品の購入者属性や購買行動は、従来は販売終了後にしかデータを得られなかった。しかし、「Amplitude」によって販売期間中でも分析が可能になった。そのため今後は、販売中のコミュニケーション戦略への活用も期待できる。

想定外だった「もう一つの効果」――データはCS対応にも効果

 また、副次的だが予想外の価値もあった。

 「お客さま相談室には『オンライン注文』や『フルセルフレジ』に関するエラーなどの問い合わせが非常に多いですが、問い合わせが入ってから原因を突き止めるのに時間がかかっていました。しかし、『Amplitude』のデータを見れば、お客さまがどこで詰まっているのか分かるので、回答時間が短縮できています」(須藤氏)

 顧客の声を重視して活動を行う同社は、この先の顧客体験向上についてどう考えるのか。企業側から一方的に「理想の顧客体験」を押し付けないことを意識したいと目黒氏は話す。

 「その体験が良かったのか良くなかったのか、その基準はお客さまの中にあります。ニーズが多様化している時代、お客さまが求める体験も多様化しています。だからこそ、今は『とにかくお客さまのことを知りたい』というフェーズです」

 顧客に寄り添った体験の提供に向けて、今後も社内体制の整備とデータ分析を進めていく考えだ。

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