例えば、巨大な金具で据え付ける機械を設置するのに、どのような什器(じゅうき)を活用してどのように段取りして行えばよいかなど、一般公開の範囲では世界中のどんなデータベースを探したって見つかりやしないでしょう。ましてや、個別のケースをどう組み立てるべきかなど、経験がなければ100%手も足も出ない。一言で言えばやったことがなければ分からない業務です。
これらは「暗黙知」とも呼ばれ、世間一般には文書化されて流布していません。つまりAIが前提とするデータベース中に組み込まれておらず、手出しをすることができない領域であるとも言えます。
そして正社員であるあなたにはそのファイアウォールの中に入ってしまい、10年間かけてそれを習得するチャンスがあるのです。
近時、コンサルブームの勢いにも陰りが見え始め、特に非常駐で分析や整理をし、パワポを置いて撤収するだけの“オールドコンサル”と言われる人々は、今後AIの台頭などにより退潮していくのではないかと言われています。私も現場で日々感じていることですが、彼らの言説の多くはしょせん解像度の粗い一般論を操るものに過ぎません。
それらは、なんか綺麗にまとまっていて見栄えがよく、ストーリーに乗っているので腹落ちもします。しかし彼らが去って後実行工程に移すとあまりうまくいきません。
なぜか。
正しいドメイン知識を伴わない一般論は業務の解像度が低く、実践に移した時に発生する各種イベントを織り込んだものとすることができないからです。正社員が彼らコンサルタントと戦うのであればここでしょう。すなわち、徹底的に特定領域の解像度を叩き上げて、それこそ「箸の上げ下げ」までどんなことでも分かる暗黙知に立脚した専門領域を持っておくことで、彼らの追随も侵入も防ぐということです。
これはAIに対しても有効な処方になります。彼らもコンサルと同じく、保有する知識はしょせん一般に流布するデータベースの範疇(はんちゅう)を超えることはできないからです。
世間一般にデータ化されていないところは、AI・コンサルとも足を踏み入れることのできないサンクチュアリ(聖域)になり得ます。
また、この点はジョブ型に順応する、という観点でも極めて重要です。ジョブというと、経理/総務のような職種にばかり目が行きがちですが、それらはいずれも特定のドメイン知識と組み合わさることで、価値を生むものです。
例えば、経理であれば建設業のドメイン知識と合わさることで、工事進行基準などを中核とする「建設業経理」というより深い専門性に化けます。
これらをどう組み合わせてソリッドな生存戦略を策定していくかが肝となります。AIに取って代わられない専門性を身に付け、これからの激動の時代を生き抜いていきましょう。
(カブシキガイシャイタバシ トウキョウチュウオウシテン)
板橋区出身。慶應義塾大学卒。現在は私文ホワイトカラー(マネージャー)。
趣味は喫茶店巡り。
Geminiを業務で使いこなす! Google Cloudが指南する「プロンプト入力」4つのポイントは?
野村が捨てた「資産3億円未満」を狙え SMBC×SBIが狙う“新興富裕層”の正体
なぜ日本企業のDXは失敗続き? BCGが指摘する“ITを知らなすぎる”経営者の責任
DXの“押し付け”がハラスメントに!? クレディセゾンのデジタル人材育成を成功に導いた「三層構造」とは
日本人はなぜこれほどまでに「学ばない」のか 背景にある7つのバイアスCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング