この記事は、『私文ホワイトカラーが AI・コンサルに仕事を奪われない働き方戦略』(株式会社板橋 東京中央支店著、かんき出版)に掲載された内容に、かんき出版による加筆と、ITmedia ビジネスオンラインによる編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
無駄の多い会議、上と下から板挟みにされる中間管理職……。近年、敬遠されがちなこれらのビジネスの文化も、これからのAI時代には逆に重宝されるかもしれません。
書籍『私文ホワイトカラーが AI・コンサルに仕事を奪われない働き方戦略』より、今後、重要となるであろう「コミュニケーションコスト」を担う人材についてお届けします。
「あまりにも多い会議をどうするか」ということは、恐らくほとんど全ての企業体において永遠のテーマであることと思います。どうやって会議そのもの、出席者、議題を減らすかに皆、割と冗談でなく腐心しているわけですが、これだけ日本中同じことで困っているのは、もはや構造的な原因があると見たほうが現実的でしょう。
無駄の温床のように言われている会議が、実は組織内の必要十分な情報連携のためには最も効率的でコスパの良い方法である(他の方法は現時点で会議の効率性に勝てない)のではないか、ということです。
会議の機能としては主に情報の周知、意見の集約、意思決定などがあるわけですが、それ以上に1つ重要な要素は、会議が「全員の集中を強制する」ことができる点です。
これまでさまざまなコミュニケーションツールが試されてきましたが、どれもワークしなかった最大の理由は恐らくここにあり、どれだけ仕組みを整えてみたところで、必要な関係者全員を拘束して意思表示させなければ意思決定など実現できないのです。
会議が「無駄」という議論は、そもそもコミュニケーションにかかるコストを過小評価したもので、業務に関わる全ての人間の意識を統一したり、情報を共有して、同じ目的に向けた行動を取らせたりすること自体が、本来的に途方もないコストを伴う行為であるとするならば、結論は一変し、むしろ会議とは最小の労力で最大のコストを賄う極めて優れた仕組み……という風に見えてくるかもしれません。
これは会議だけではなく、例えば中間管理職の悲哀として言われる「上からも下からも板挟みになり……」という話や、顧客と自社製造に挟まれる営業、社内でも部門間調整をやらされる挟まれ役の悲哀などが聞かれるのは、全てコミュニケーションコストという、見方によっては経営最大のコストを認知できていないことに起因するのではないかと考えています。
では今後、この問題はAIを筆頭とするツールの進化やコンサルが提案する組織の効率化などによって解消していくでしょうか。
私個人の意見としては一定の効率化は図られるものの、決定的な解決に至るということはなく、基本的には今の延長で挟まれ役たちの人力によりコミュニケーションを行う状況が今後も継続していくものと思われます。大組織において人の時間を強制的に抑えて、理解、主張、納得させ、全体として合意に至ることはそれほど甚大なコストかつ難解な課題であり、人力のコスパが最強であることは当面変わらないからです。
この話題は私の愛読書『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』(大和書房)にて詳しく紹介されています。大手コンサルを30年渡り歩き、ありとあらゆるフレームワークや管理制度/モデルを開発・実践してきた著者のカレン・フェラン氏が、最後に辿り着いた究極のメソッドが「ひざ詰めで話す」だとか、関係者を集めて「模造紙にふせんを貼ってブレストする」であったことは、注目に値します。
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