「Adobe不要説」は本当か? AI機能から無料アプリAffinity V3の“現実的な乗り換え”案を考えてみたその悩み、生成AIが解決

» 2026年01月13日 06時00分 公開
[酒井麻里子ITmedia]

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連載:その悩み、生成AIが解決

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Q.無料アプリ「Affinity V3」がAdobeサブスクの代替になると聞きました。乗り換えればサブスク代をゼロにできますか?

 総合クリエイティブツール「Affinity」は、Canvaによる買収後、2025年秋に無料で利用できる形へと大きく舵を切った。PhotoshopやIllustratorに近い機能を備えていることから、「Adobeの代替ツール」として注目されている。

「Adobe不要説」は本当か? Affinity V3の、現実的な乗り換え案を紹介する

 リリース直後は「Adobeのサブスクは不要になる」という声も多く挙がり、SNSではAdobeの「解約祭り」が話題になった。

 実際に筆者も触ってみたが、非デザイナーが簡単な制作物を作るために使うなら十分な機能を備えていると感じた。

著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)

ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。


一時は“解約祭り”も 「Adobe不要説」は本当か?

 Affinityは複数の機能が1つのアプリケーションに内包され、タブを切り替えるだけで利用できるシンプルな操作も魅力だ。

 例えば、Photoshopで写真をレタッチして、その画像をIllustratorのちらし内で使うといった作業が同じアプリ内で完結する。

Photoshopに相当するAffinity「ベクター」の画面。UIもAdobeに近いので、違和感なく操作できる

 無料で使い勝手もよいアプリが登場したのだから、乗り換えを検討したくなるのは当然だ。Adobe Creative Cloudは、Standardプランで月額6480円(年間プラン・月々払い)と決して安くはない。

 では、「Adobeはもう不要! これからは0円で運用」が可能かというと、必ずしもそうとはいえない。実務面においてハードルとなりやすいのが、PDF編集アプリと画像のAI処理だ。

 ビジネスシーンでは、PDFの結合やページの差し替え、機密情報の墨消しといった作業を行うことが多い。AffinityでもPDFの読み込みや配置はできるが、PDF編集に特化したツールではないため、こうした用途では引き続きAdobe Acrobatを利用するのが現実的な選択だ。

 また、AffinityのAI系機能はCanvaの有料プランとひも付いており、画像の背景削除や生成塗りつぶしなどの高度なAI機能を使うには、Canvaの有料プラン(Canva Pro)が必要になる。

Canva Proを契約している場合、Affinityアプリ内で高度なAI機能が利用できるようになる

実務視点で考えた3つの「乗り換え案」

 本稿では、以下の機能を使うためにCreative Cloud Standardプランを契約している場合を考えてみたい。クリエイティブ業務がメインではなく、事務作業などの延長としてこれらを行うケースを想定している。

  • 写真のレタッチ(Photoshop)
  • 簡単なちらし等の作成(Illustrator)
  • 画像のAI処理(背景削除、生成塗りつぶしなど)
  • PDFファイルの結合、編集など(Adobe Acrobat)

 以上を踏まえると、ユースケース別に3パターンの乗り換え案が浮上する。(以下、Adobe Acrobat は「年間プラン・月々払い」、Canvaは年間プラン8300円を換算した額、Fireflyは月額で計算)

[1]最小構成パターン

 最小構成で運用する場合、Affinityを無料で使いつつ、AI機能のためにCanva Proを契約し、PDF編集はAcrobatの単体プランで最安の「Acrobat Standard」を選ぶのが堅実だろう。AIで画像処理を回しつつ、PDFは結合や基本編集までで割り切る、という運用である。

Affinity(0円) + Canva Pro(692円) + Acrobat Standard(1518円) = 2210円

[2]PDF強化パターン

 ただしAcrobat Standardは、編集可能なOCRの作成や墨消し、差分比較といった機能には対応していない。そのため、スキャンした紙の書類をOCR化してPC上で編集したい場合や、MacユーザーはAcrobatの上位プランが必要になる。

Affinity + Canva Pro(692円) + Acrobat Pro(1980円) = 2672円

[3]PDF強化&安全運用パターン

 業務で画像生成AIを使う場合、リスク対策も考える必要がある。FireflyはAdobe Stockなどのライセンス済みコンテンツやパブリックドメインなどを中心に学習しており、商用利用を前提に設計されているため選びやすい。

 安全面を重視してAdobe Fireflyを利用する場合、Fireflyクレジットを利用できるFirefly Standardプランを契約することになる。

Affinity(0円) + Canva Pro(692円) + Acrobat Pro(1980円) + Firefly Standard(1580円) = 4252円

本当に必要な機能を見極めて検討する

 乗り換えによってAdobe CCの半額以下で運用できるケースもあり、「Adobe税」に負担を感じているなら検討する価値は十分にある。

 とはいえ、「Adobeを解約すれば全て解決」と考えるのは早計だ。安易に乗り換えた結果、必要な機能が使えなくなっては本末転倒である。また、年間契約の途中解約には違約金が発生するケースがあることにも注意が必要だ。

 まずは「自分の業務に本当に必要なのはどの機能か」を洗い出し、契約更新のタイミングで計画的に移行するのが現実的だろう。新しいツールが次々と登場する今だからこそ、流行に飛びつくのでも従来のやり方に固執するのでもなく、実務起点で冷静に選ぶ姿勢が求められている。

【イベント情報】生成AI活用によるDX推進の本質

生成AIの普及が急速に進む中で、業務変革や事業成長に活かすことは難しいという声を耳にすることが多くなりました。企業のDX化のカギは、経営と現場の両輪で取り組むことです。オムロンでは現場の内発的動機を経営のエンパワーメントによって昇華させ、実践的な生成AI活用のプロジェクトを全社横断で推し進めています。“オムロン流”の生成AI活用の取り組みについて解説します。

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