学研が挑む"真のDX"──「本当に使われるデジタル」で目指す教育価値のバリューアップ
【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
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【概要】学研グループは、DXを目的化するのではなく、現場と顧客にとって“本当に使われるデジタル”を出発点に教育価値のアップデートに挑戦しています。本講演では、現場で浮き彫りになった課題や、実際に行ってきた改善や仕組みづくり、そこで得られた知見がどのように学研のDX推進を形づくんできたのかをお伝えします。既存のデジタル活用の成果と学びを振り返りながら、学研が目指す“真のDX”の姿をご紹介します。
Web会議の最中、話を聞くことに集中しすぎてメモを忘れてしまったり、メモを取ることに集中しすぎて話をしっかり聞けなかったり……。ビジネスパーソンの悩みの種に、会議などの文字起こしがある。
最近はAIを支える大規模言語モデル(LLM)も発達したことで、文字起こしサービスの精度が上がっている。ただし、一定量を超えると有料となるのが一般的だ。そんな中、文字起こしを無料で提供する戦略を展開しているのが、音声ビジネスを手掛ける香港のベンチャーHiDockだ。同社が実施した製品開発のクラウドファンディングでは、合計で約3億円の資金調達に漕ぎつけた。
11月には日本市場に本格的に進出。「P1」と「P1 mini」というAIボイスレコーダーを販売している。競争が激しい日本市場の攻略について、同社のション・ソン(Sean Song)共同経営者兼CEOに話を聞いた。
ソンCEOは、DVD向けの半導体チップを手掛けるイスラエルのゾランで、ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートさせた。取引先であったソニー、シャープ、パイオニアなど、日系企業と関わりを持つようになったという。「日系企業からは、精密工学、検証プロセスなどを学び、エンジニアとしての基礎を築いてくれました」
その後、米マイクロソフトに転職。ハードウェア製品のエンジニアとして、SurfaceやXboxのKinectに関わった。
2022年にHiDockを創業。現在の従業員は38人で、半分以上がエンジニアだ。スマートスピーカーのAlexaで使用する、周辺のデバイスをつなげるためのソフトウェア開発などを担うことから事業を始めた。その中で培ってきた音声の知見を生かして、今回のP1などを開発した流れだ。
資金はクラファンを使って調達した。まず、世界的に有名な米Kickstarterを利用し、約1万人から1億8000万円の支援金を調達。続いて、日本のMakuakeで約5300人から1億2000万円あまりを集め、合計約3億円の資金で製品化にこぎつけた。
P1とP1 miniを作ったきっかけは、新型コロナウイルスで広まったオンライン会議だ。オンラインコミュニケーション協会が2024年11月に発表した「大企業のオンライン会議活用に関する定点調査」によると、オンラインを使った社内会議の比率は「7割程度」が37.7%。社外会議でも「5割程度」が最も多く27.7%を占めた。
「オンラインミーティングでは、耳を傾けているとメモを取ることが難しいです。一方で、メモを取っていると、ちゃんと話が聞けません。多くの企業がスピーカーフォンなど、ハード・ソフトを問わず、いろいろなソリューションを提供しました。しかし企業向けが中心で、しかも高額でした。それを個人向けに提供することで、イノベーションを起こしたいと考えました」(ソンCEO)
議事録作成のための文字起こしに苦労している個人が多いことに着目した。これまでの議事録作成で想定されるフローは以下だ。
音声データをデバイスから取り出す→文字起こしをしてくれるSaaSに登録→音声データをダウンロード→SaaSを使って文字起こし→作成されたデータをメールに直接貼り付けるか、Wordなどにコピー&ペーストをして保存→添付で上司などに送信する──。
「ブツブツと切れたフローを、一括にできたら、この問題に対してのソリューションなると思ったのです」
日本市場については「大きくも小さくもないものの企業戦略として必要だ」と話す。ソンCEOは、自らの過去の経験から、日本企業には「記録を残す文化」が根付いていると指摘する。
「Kickstarterでも日本人からの意見をもらいました。また、日本にある書店の壁一面にAIに関する本がズラッと並んでいる写真を、ネットニュースで見たのです。日本人はAIに関して熱心だと感じ、Makuakeでもクラファンを実施しました」
日本で製品を広めるため、日本市場を欧米に次ぐ戦略的な市場と位置付けることにした。
「われわれにとってクラファンは、資金集めのためだけではなく、テストマーケティングでもありました。価格設定や録音、要約、翻訳といった機能を統合するというビジネスアイデアが、ユーザーに受け入れてもらえるのかどうか。それを知ることが最も大事な目的でしだったのです」
クラファンのサイトを訪れる人は、新しいものにトライしたいというアーリーアダプター層が多い。それゆえ、アイデアが支持されるかどうかを判断できる絶好のテスト場所だったのだ。
この商品は個人利用の客層を主なターゲットにしている。具体的には学生、コンサルタント、フリーランス、営業担当者だ。
P1の強みはHiDockが開発した独自技術「BlueCatch」だという。
通常、Web会議でレコーダーによる録音をするには、PCのスピーカーから音を流す必要がある。つまりイヤホンをつけながらプライバシーや他人への配慮を保つことと、録音することは両立できない。だがP1では、可能となるのだ。
例えば、自分がオンラインミーティングのホストであれば録画・録音ができる。一方そうではない場合、主催者に録音をお願いする必要があるだろう。
だが、HiDockならBlueCatch技術によって、オフィスでの自席やカフェといった公共の空間で、Bluetoothイヤホンを接続して音がスピーカーから出ない状況下でも、会議の音声を録音できるのだ。
75言語に対応している文字起こし機能は、メンバーシッププランでは文字起こしやAI要約を時間無制限で無料とし、差別化を図った。
HiDockによると、同業他社と比較し、文字起こしの時間を無制限として1年間使った場合、費用を「71%削減できる」としている。AIの要約では、1時間の会議であれば、約5分で要約文を作成できるという。1週間で半日分の時間が短縮できる効果があるとした。
より便利な機能を追加した有料版も用意している。例えば、無料版の文字起こしでは、誰が話したのか完全には識別ができない。だが、有料版では可能にした。
他にも、対面の会話に加え、動画配信している外国語の基調講演などもリアルタイムで翻訳できる「リアルタイム翻訳」機能も提供する。この機能は日本語、英語、中国語の3言語に対応している。
文字起こしの精度を高め、競争力を高めるべくAIを活用しているという。特にノイズキャンセリングは重要だ。騒々しいところで録音すると、例えば、車の走行音を人の音声と誤認する場合があるという。その際にAIを使ってノイズを除去すれば、クリアな音声となり、文字起こしの精度も上げられるのだ。
「日本語で特に難しいのが異口同音です。ユーザーからのフィードバックをもらい、日本のローカルのパートナーと一緒に取り組んで、日本語の精度を高めたいと考えています」
AIエージェントの進化も世間では話題となっている。今後、取り入れていく準備があるのかを聞いた。
「私が気に入っている機能があります。『来夏にまたインタビューをやりましょう』と私が発言したとします。AI要約をする際に、それを抽出し、カレンダー機能に登録するかどうかをAIエージェントが提案してくれる機能です。今は、文字起こしとAI要約のサービスが基本ですが、少しずつAIエージェントの方にシフトすることになるでしょう」
販売チャンネルとしては現在、自社WebサイトとAmazonで展開をしている。すでに家電量販店との交渉を始めており、近日中にオンラインなどでの販売を目指す。いずれは実店舗での販売を視野に入れているという。ポップアップショップや展示会などにも積極的に参加することで、P1の認知拡大にも合わせて力を入れていく。
ソンCEOはインタビュー中、「みなさんの意見をどんどん話してほしい」と語るなど、ユーザーやメディアからの意見をたくさん聞いていた。P1のエコシステムを改善していきたいという思いが滲んでいる。
自身の会社を「ハードの会社であり、ソフトの会社でもある」と称した。確かに両方を兼ね備えたベンチャー企業は多くはない。開発スピードを上げられるので大きなアドバンテージだ。
HiDockが提供する製品やサービスは、いずれライバル企業に追随される可能性もある。日本のユーザーの意見を聞きながらアジャイルな開発を継続すれば、追う企業との差を縮められることなく、大きくビジネスを成長させる可能性があるだろう。
【イベント情報】学研が挑む"真のDX"
学研グループは、DXを目的化するのではなく、現場と顧客にとって“本当に使われるデジタル”を出発点に教育価値のアップデートに挑戦しています。本講演では、現場で浮き彫りになった課題や、実際に行ってきた改善や仕組みづくり、そこで得られた知見がどのように学研のDX推進を形づくんできたのかをお伝えします。既存のデジタル活用の成果と学びを振り返りながら、学研が目指す“真のDX”の姿をご紹介します。
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