しかし、こうした変革を推進するには課題もある。部門間の調整といった組織の壁に加え、AIを扱うリテラシーの格差だ。特に、リソースが限られる中小企業からは「人材がいない」という声も寄せられるが、菊地氏は「人材を育ててから環境を整えるという順序では、変化のスピードに間に合わない」と語る。
まず、環境(ツール)を現場に提供し、デジタルネイティブな若手が使いこなす中で、文化が育つのを待つ。ただし、それは現場に丸投げというわけではない。経営側には先行投資と権限移譲に加え、現場に寄り添い、粘り強く教育・伴走する姿勢が求められる。
これからの企業にとって、オフィスという「集まる場」の価値をいかに示すかは、共通の課題だ。リモートワークでは代替できない体験を、いかに設計できるか。
リコーが実践するAIに定型業務を委ねる仕組みは、人が本来持っている感性を取り戻すための一つの試みといえる。ただし、それが機能するためには、業務の徹底した可視化と、役職を超えてフラットに議論できる組織風土が前提となる。
「従業員の発する声は、最大の経営資源である」と菊地氏は語る。その声をくみ上げ、価値に変換できる場所を提供できるか。AI時代のワークプレイス改革は、優秀な人材を引きつけるための戦略になる可能性があり、企業の競争力に直結するかもしれない。
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