モラルライセンシングは、意志の弱さの問題ではない。人間の認知のクセであり、誰にでも起こる心理現象である。
私も睡眠時間を確保するというルールを決めているのに、ついつい「今日はいつも以上に頑張ったのだから、夜遅くまでNetflixのドラマを観ていいだろう」と、まるで理屈に合わない判断をしてしまうことがある。そして翌日には「どうしてあんな判断をしたのか」と後悔することになるのだ。
組織として対策をとるべきは、以下の3つである。
どれだけ成果を出していても、ルール順守は例外なく求められる。この原則をあいまいにしてはならない。
また、個人レベルでも対策は可能だ。自分の行動パターンに意識を向け、気が抜けていないか? と気づくことである。具体的には、良い行いをした後に「緩みが出ていないか」を意識的に振り返ってみる。さらに、組織として倫理的な行動の意味を継続的に議論する機会を設けることも有効だろう。
筆者が講演などでモラルライセンシング効果の話をすると、
「頑張ったのだから、ご褒美ぐらいいいだろう」
「縛り付けるのはよくない」
という声をもらうことが多い。もちろん、そうだ。常に最適解を求めていると、窮屈な感じがする。しかし「ほどほど」にしないと、「ずるずる」いってしまうことになる。
ダイエット目的でどんなに走り込んでも、そのたびに飲んだり食べたりしていたら逆効果だ。走らないほうが健康を保てた、ということになりかねない。
会社に貢献するために頑張ったのに、その見返りを求めすぎて信頼を失っては元も子もない。
そうならないためにも、モラルライセンシング効果について理解を深めよう。人を疑うためではない。人間は誰でも、自分に免罪符を出してしまうという前提に立ち、仕組みでコントロールするのだ。
空気が緩んだとき、最初に崩れるのは、意外にも優秀な人だ。管理のためではなく、信頼を守るための設計だと認識しよう。
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
部下「出社義務化なら転職します」 上司は引き止めるべきか、去ってもらうべきか
オンライン会議中に宅配を受け取る新入社員 叱っていいのか、悪いのか?
「残業キャンセル界隈」名乗る若者が増加中…… 上司はどう向き合うべき?
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング