ローソンでの取り組みが持つ価値を解説する前に、まずは車中泊という旅のスタイルについて考えてみましょう。
車中泊は万人向けの旅のスタイルではありません。一方で、ここ数年の旅行や余暇の過ごし方を振り返ると、「王道の観光地に行き、ホテルに泊まる」以外の選択肢が、少しずつ受け入れられてきたことにも気付きます。
近場で過ごす「マイクロツーリズム」や、ホテル滞在そのものを目的とした「ホカンス」、乳児連れ歓迎の「ベビーウェルカム」な宿泊施設への滞在などが挙げられます。これらはいずれも、何らかの制約や条件を踏まえることにより、魅力的な価値が立ち上がってきた例だと言えるでしょう。
車中泊もまた、「ペットと一緒に旅したい」「自分のペースで旅したい」といった、旅行ニーズの変化と結び付いています。ただし、ここで重要なのは「なぜそれが、ローソンという場所で価値が発揮されるのか」という点です。
この問いをユーザー体験の視点から考える上で、押さえておきたいポイントがあります。それは「負の体験に目を向けること」です。
ユーザー体験というと「新しい」「楽しい」「ワクワクする」といった、魅力的で他にはない価値をどう作るか、という話になりがちです。
もちろんそれも重要ですが、実際には不安や面倒、気まずさといった「負の体験」をどれだけ取り除けるか、これこそが体験の質を左右する要素です。ベビーウェルカムの宿泊施設が支持される理由も、「ビュッフェ会場で子どもが大泣きしても気まずくない」「隣の部屋に過度に気を使わなくていい」といった安心感が大きいのです。
車中泊においても同じ構図が成り立ちます。車中泊は自由度が高く、自分の旅のスタイルに合わせやすい半面、いくつもの不安と隣り合わせです。
どこに車を停めていいのか分からない。夜間の治安が気になる。きれいなトイレはあるのか。人目は気にならないか……。こうした不安は、一つ一つは小さく見えても、積み重ねることで体験全体の質を大きく下げてしまいます。まさに「チリツモ」です。
その点、24時間営業で、常に人の出入りがあり、清潔なトイレや飲み物が確保できるコンビニは、車中泊における「当たり前の品質」を極めて高い水準で満たす環境であるといえます。
ローソンが車中泊利用者に提供しているのは「不安を感じない状態」です。この安心感こそが満足度の高いユーザー体験を実現する土台になっています。「ただ過ごす」というシンプルな行動が主役になるアウトドアにおいては、このような「負を取り除ける環境」が満足度を大きく左右します。
ユニクロのセルフレジ、なぜあれほど「快適」なのか? 「徹底的な分かりやすさ」はこう作られている
スシローの注文用ディスプレイ「デジロー」は何がすごい? 大画面に盛り込まれた数々の仕掛け
入場料2530円の本屋が話題 「本を買う」だけでない、一風変わった本屋の「納得の体験価値」
三日坊主にはなれない? Duolingoの「離脱ユーザー」を引き戻す画期的な仕組み
パンはどこでも買えるのに、3990円のサブスクがなぜ人気? UX観点からワケを考えるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング