なぜ「最強組織」から闇堕ち社員が続出するのか プルデンシャル、キーエンス、メガバンクの共通点スピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2026年01月21日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

今の日本に対するエリートの心境は

 さて、そんな「希望なき国家」で試験を勝ち抜いてきたエリートがどんな心境になるのか想像していただきたい。

 せっかくここまで遊びも自由も我慢して努力を続けてきて「最強組織」に入ったというのに、バブル期の日本人のように豪遊できるわけではない。年収2000万円といっても、外資系企業に比べたらそれほどすごいわけではないし、円安の今、欧米では中流程度の暮らししかできない。

 「だったら本格的に日本が貧しくなる前に、今の肩書や立場を利用して、危ない橋を渡ってでも荒稼ぎしたほうがいいのではないか」という刹那的・短絡的な行動に走るエリートが増えても不思議ではない。

 分かりやすい例が、今注目を浴びているプルデンシャル生命だ。実は筆者も30代のころにスカウトされ、同社の働き方について説明を受けたことがある。そこで感じたのは、同社は「稼げる人は大きく稼げる一方、そうではない人にはあまり社員でいるメリットがない」という、個人事業主的な色合いの強い組織だということだ。

 ということは裏を返せば、稼げなくなった人はどうするかというと「プルデンシャル生命のライフプランナー」という肩書をうまく使って次のキャリアを切り開くか、あるいは個人的に稼ぐしかないということだ。

 報道によると、今回の大規模な詐取では、プルデンシャル生命の商品を用いたものはあまりなく、むしろ、「架空の投資話」を持ちかけたり、「資産運用のプロ」を名乗って信用させ、「お金を預けてもリスクはない」と説明してだます手口が目立っていたという。

「名門組織にしがみついた詐欺師」(出典:ゲッティイメージズ)

 「プルデンシャル生命社員」として不正を働くというよりも、「プルデンシャル生命社員」という肩書や信用を利用して、相手をだまして私腹を肥やそうとする「個人犯罪」の色合いが強い。もちろん、だからといってプルデンシャル生命に非がないわけではない。いくら個人事業主的であっても社員は社員だ。適切に管理できず、ここまで大規模なモラルハザードを引き起こしたということは、この組織のガバナンスに深刻な問題があることを示している。

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