加えて、問題なのは日本のエリートによく見られる「員数主義」という独特の思想だ。これは「数の帳尻さえ合えば多少の不正は許される」という戦前の日本社会ではわりと当たり前だった考え方で、旧日本軍のガバナンス不全などにも影響を与えたと評論家の山本七平氏が指摘している。本連載でも以下の記事などでたびたび取り上げているので、興味のある方は読んでいただきたい。
「員数主義」の最大の問題は、数さえうまく合わせることができれば「不正」自体も存在しなかったことにできる、というすさまじいモラルハザードだ。金融機関のエリートたちの横領・詐取も、基本的にこの「員数主義」の考えに基づいているのだ。
このような日本型組織特有の問題がベースにあることに加えて近年、「闇堕ち社員」が増えてきた背景にはやはり「日本の未来への失望」もあるのではないかと思う。
2024年12月、日経電子版と日本経済新聞社の英語メディア『Nikkei Asia』がアジア中心に13カ国・地域の読者約2600人に「5年後、今より豊かになっていますか」と質問したところ「豊かになる」と回答したのは、日本だけが約44%と低かった。
高市政権が積極財政を進めることで、日本の未来に希望を抱けるようになったという人も多いだろうが、MMT(現代貨幣理論)が世界的に否定されて、IMF(国際通貨基金)が積極財政への懸念を表明しているのも紛れもない事実だ。
なぜかというと、日本は減税どうこう以前に毎年、和歌山県の人口とほぼ同じ約90万人が消えて、しかも消費や納税を率先するはずの若者が激減している「縮みゆく国家」だからだ。
現在の医療・年金という社会保障システムは人口が右肩上がりになっていくことを前提としたものなので、人口が急速に減れば、急速に個人負担が重くなって維持できない。つまり、食料品の消費税をゼロにしようとも積極財政でバラマキを続けようとも、この“人口増型社会保障システム”がある限り、われわれは奴隷のように「重負担」から逃げられないのだ。
そして残酷なことに、バラマキをすればするほど、子どもたち世代の負担は、今と比べものにならないほど重くなっていくということだ。
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