筆者のクライアントで、「会社として十分に社員とコミュニケーションを取っている」と考えている企業があります。ただ、確かに社員と会話はしているものの、あくまでも評価のための面談であり、それ以外の対話をほぼしていません。また、会議や打ち合わせはしていても、会社から一方的に話をしているだけという場面もよく見かけます。このような会社は、社員とコミュニケーションを取っているつもりでも、実は全くできていない状態です。
このような会社が、社員との関係構築のために「飲み会やるぞ」と言っても、声をかけられた側は「用事がある」と言って断りたくなります。これでは飲みニケーションは成り立ちません。
「飲み会だから、みんな来ないんだ。それならランチ会をしよう」と企画しても、「お昼は食べないので」と避けられてしまいます。このような会社は、社員旅行やピザパーティーなど、何をやっても社員に振り向いてもらえません。ましてや、社長や部長との飲み会など「何を話したら良いか分からない」と思われてしまいます。社員とのコミュニケーションを本気で取ろうとしていない企業は、何を企画しても社員に響かないのです。
これは「社員との関係性こそが全て」という企業の姿勢がなく、それが社員に伝わってしまっているのが原因です。結果的に、エンゲージメントが低く、人材が定着しないため離職率が高く、採用費が増加し、人件費ばかりが上がり続け、利益が残らない会社となってしまいます。
こうした状況を改善するためには、トップ自らが「社員みんなとの関係をより良くして、チームとして会社を作っていく」「社員こそが一番の宝」という偽りのないメッセージを出す必要があります。
筆者も社会人1年目の時は、ほぼお酒を飲めなかったこともあり、飲みニケーションの席にはできれば行きたくないと思っていました。しかし、飲みニケーションで上司や先輩、後輩の知らない一面を知って距離が縮まったり、お客さまと仲良くなったりと、その貴重さも実感しました。こうした経験をさせない限り、飲みニケーションをしたくない若者は増えていくでしょう。
2026年になり、世の中では生成AIが本格的に仕事での幅を効かせ始めており、改めて人ならではの価値が重視されています。
だからこそ、会社という組織において、会社のコミュニケーションレベルをどのように高め、社員とのコミュニケーションをどのように取るべきか、真剣に考えることが必要となるでしょう。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
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