学研が挑む"真のDX"──「本当に使われるデジタル」で目指す教育価値のバリューアップ
【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】学研グループは、DXを目的化するのではなく、現場と顧客にとって“本当に使われるデジタル”を出発点に教育価値のアップデートに挑戦しています。本講演では、現場で浮き彫りになった課題や、実際に行ってきた改善や仕組みづくり、そこで得られた知見がどのように学研のDX推進を形づくんできたのかをお伝えします。既存のデジタル活用の成果と学びを振り返りながら、学研が目指す“真のDX”の姿をご紹介します。
本稿は、1月27日にラーニングイットが開催した「『VoC(顧客の声)活用実態調査』報告セミナー&カンファレンス」を取材したもの。
「キャップが開かなくて、ペンチを使って開けました」――。キリンホールディングスのお客様相談室には、年間3万5000件以上の声が寄せられる。
「顧客の声」(VoC)は従来、カスタマーサポート(CS)の文脈で語られることが多かった。問い合わせや苦情に対応し、トラブルを防ぐ――いわば“守り”の機能だ。しかし今、同社ではVoCを単なる対応業務にとどめず、顧客体験(CX)全体を設計する「経営資源」と位置付けている。
組織の壁を越えて“声”に向き合い、さらにはAIも駆使して進化するキリンのVoC活動。なぜ同社はVoCを経営の起点に据えたのか。
キリンホールディングスにおけるVoC活用の中核を担っているのが、「お客様相談室」だ。同部署は、大きく分けて顧客応対の窓口となるチームと、VoCを全社的に活用する「CX推進チーム」で構成されており、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン、キリンホールディングスのグループ4社の顧客対応を担っている。
例えばキリンビール単体では、2025年は年間で1万8936件もの声が顧客から集まった。声が集まるタッチポイントとしては、電話が最も多く、全体の約6割を占める。その他、メール、チャットボット、有人チャット、問い合わせフォームなどがある。また、公式サイトのFAQの閲覧数は、年間で100万PVを超えているという。
お客様相談室が、CSからCXへと方針を転換したのは2019年。同年に策定された長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」に基づいている。
ビジョンの中で同社は「世界のCSV先進企業となる」と掲げている。CSVとは、社会課題の解決と経済価値の創出を両立させるということ。つまり、社会が「何に困っているか」を起点に事業を組み立てることが肝となる。一つ一つの声は、分解された社会課題と考えられる。
「お客さまにより充実した体験を提供することで、経営に貢献する。そのために、CXへと舵を切りました」と、コーポレートコミュニケーション部お客様相談室の原田啓子さんは話す。
電話やメール、チャットボットなどに寄せられる声は、対応履歴なども含めて全てCRMに集約している。また、顧客を対象としたアンケート調査の結果も、同じくCRMに格納。これらのVoCを、CX推進チームを中心に整理・分析している。
分析されたVoCの活用先は幅広い。商品やサービスの改善はもちろん、リスクを未然に防ぐために活用されることもある。
その一例が、広告や商品パッケージのチェックでの活用だ。
「例えば、新CMで自転車に乗っているシーンが流れる場合、ヘルメットを被っている姿が一瞬しか映らないため、誤解を与える可能性を考慮して着用している様子を数秒間は映してほしいとフィードバックした事例があります。これは、お客さまから過去にいただいた声を基にしています」(原田さん)
商品パッケージについても「注意表記はもっと太字で目立つように」「アレルギーの表示の位置が分かりにくい」など、生活者視点でチェックしているという。
また、VoCを起点に既存の商品やサービスを改善するために中核となっている取り組みが月に1回、部門横断で開催する「改善ミーティング」だ。品質保証部、生産部、営業部、マーケティング部、そしてお客様相談室が集まり、届いた声を基に、課題の洗い出しと改善の方針策定を進めている。
興味深いのは、この会議がトップダウンで設計されたものではない点だ。きっかけは、営業部門との何気ない会話だったという。
「最近、相談室に寄せられる声の中で〇〇の案件で困っている」「それなら、もっと本気でお客様の声を聞くべきではないか」――このようなやり取りから、人が人を呼び、少しずつ輪が広がった。現場の実感を起点にしたからこそ、この会議は“やらされ感”のない場として根付いていった。
現在、改善ミーティングは同社のISOの枠組みに組み込まれており、正式な業務プロセスとして文書化されている。ISOの枠組みとは、品質や業務プロセスを継続的に改善していくための国際的なマネジメント規格で、業務手順の明確化や記録が求められる。
こうした仕組みに組み込むことで、担当者の異動などをきっかけに活動が止まってしまうことを防ぎ、属人化することなく、継続的に改善を進められる体制を整えている。
「顧客の声」を宝の持ち腐れにしない 武器にできる企業は何が違うのか?
月次報告180時間が「ゼロ」に パナソニック くらしアプライアンス社が挑んだVoC分析の改革
営業の「急な深夜対応」が激減 夜間電話を100%「AI化」したコンタクトセンター大改革Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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