北陸コカ・コーラボトリング(富山県高岡市)のコンタクトセンターでは、昼夜問わず電話が鳴り続けていた。自動販売機の故障対応や請求業務の確認など、その数は日中だけで「年間10万件」に上る。
夜間の入電のうち10〜15%程度は「緊急対応が必要」と見なされ、担当営業が“緊急で呼び出される”ことも多々あった。
これらの問題を解決すべく、同社は2025年7月からAI音声対話システムを導入。夜間の電話対応の100%無人化に成功した。
さらに、深夜の緊急対応は「4カ月間で“たった1件”」に激減し、社員の働き方を変えている。
IVRyが11月20日に開催したカンファレンス「Voice to Value 2025」で、北陸コカ・コーラボトリング 事業管理部 事業部長の野明高洋氏と、センター長の五十嵐学氏が登壇した「“人手不足"という逆境を乗り越える!北陸コカ・コーラボトリングが実現した、夜間応対100%無人化の裏側」の内容を一部抜粋してお届けする。
北陸コカ・コーラボトリングは、富山県・石川県・福井県・長野県の4県で清涼飲料水を販売する。
同社では、20席程度の小規模なコールセンターを運営している。自動販売機の故障対応や商品に関する問い合わせ、請求業務の確認など、日中だけで年間約10万件の入電がある。商品やサービスの性質上、夜間の対応も必要なため、24時間365日の運営体制で、電話対応の負担は決して小さくはなかった。
以前、夜間の問い合わせ対応は外部事業者に委託していた。しかし、自動販売機の故障や商品に関するトラブルなど、緊急性の高い問い合わせが発生すると、社内のフィールドセールスにエスカレーションされる。日時を問わず、営業担当者が対応に駆り出されることは珍しくなかった。
コールセンターの負荷を大きくしているのは、夜間の対応だけではない。日中の受注業務にも、大きな課題があった。
例えば、同社が受け取るFAXは年間5万枚に上る。取引先ごとにフォーマットが異なることもあり、手書きの注文書も多い。そのため、読み取りから基幹システムへの入力まで、全て手作業で処理する必要があった。
「電話もそうですが、FAXの対応業務も属人化していて。365日、変わらぬ品質で対応できる体制を組むこと自体が、難しい状況でした」と五十嵐氏は当時の課題を語った。対応できるベテランメンバーが不在の場合は、業務が滞ってしまう。かといって、ベテランメンバーばかりに負荷をかけるわけにはいかなかった。
これらの課題は、問い合わせを「人」に頼りすぎている点にある──そう考えた同社は、システムを活用した効率化の検討を開始。小規模センターでは大規模な初期投資は現実的ではない。初期コストを抑えながら段階的に導入できる仕組みを備えているIVRy(東京都港区)のAI音声対話システムを導入した。
月次報告180時間が「ゼロ」に パナソニック くらしアプライアンス社が挑んだVoC分析の改革
オペレーター1人で30社対応 “混乱現場”を救ったコンタクトセンター改革の裏側
野村が捨てた「資産3億円未満」を狙え SMBC×SBIが狙う“新興富裕層”の正体
年間4万件超の問い合わせ 築地本願寺のコールセンター改革、「傾聴」と「効率化」は両立できるか?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング