論理的に考えれば、余剰となっているホワイトカラーがリスキリングを経て、不足しているエッセンシャルワーカーとなれば、ミスマッチは解消に向かうはずです。実際、オフィスワーカーへのアンケートでは「条件次第で現場職への転職も検討する」という回答が一定数存在します。
しかし、実際の労働移動は遅々として進んでいません。そこには、個人の意識だけでは乗り越えられない構造的な壁が存在します。
第1に「賃金ギャップ」です。現場職は社会的意義が高く、肉体的な負荷も大きいにもかかわらず、賃金水準がホワイトカラーと比較して低い傾向にあります。
第2に「働き方の変化」です。リモートワークやフレックスタイムに慣れた人材にとって、シフト制や現場への出勤が必須となる働き方への適応は、生活スタイルの大きな転換を強います。
そして第3に「イメージの固定化」です。本来は高度なスキルを要する専門職であるにもかかわらず、いまだに3K(きつい・汚い・危険)といった旧来のイメージが払拭しきれていません。
では、私たちは縮小する事務職の椅子を奪い合い続けるしかないのでしょうか。ここで提案したいのが「エッセンシャル・ホワイトカラー」(アドバンスト・エッセンシャルワーカー)という新たなキャリアの選択肢です。
これは、単にホワイトカラーが現場作業員になるということではありません。「リアルな現場を深く理解し、かつデジタル技術を活用してその業務プロセスを変革できる人材」を指します。
例えば、建設業界において、プログラミングができなくても「現場監督の業務フロー」や「資材発注の課題」を熟知している人材が、エンジニアと協働で工程管理アプリを開発し、現場の生産性を劇的に向上させるケースがあります。物流現場において、配送ルートのデータを分析し、ドライバーの待機時間を削減する仕組みを構築する事例も同様です。
こうした人材は、ホワイトカラーとしての「企画・管理能力」と、エッセンシャルワーカーとしての「現場理解」の双方を武器にできます。現場の人手不足という社会課題を解決する役割であるため、市場価値も高く、これからの時代に求められるポジションと言えるでしょう。
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