Xに対抗するSNS「W」とは何か 広がる“米国依存”のリスクと現実世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2026年02月13日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

Xへの依存に伴う大きなリスク

 日本では衆議院議員選挙が終わったばかりだが、Xでは、海外のボットなどが政治家の発言や政治活動に介入したという疑惑が指摘されている。特定の政党を支持するような投稿だけでなく、選挙中に注目を浴びる政治的な投稿やリプライにボットが介入し、インプレッション稼ぎをしているケースも少なくない。特に選挙期間中は、荒野のようなXがさらに荒れる傾向がある。

 偽情報やディープフェイクなども指摘されて久しく、問題に気付いている人は多いが、代わりとなるプラットフォームを作ろうという人はほとんど出てこない。日本人がこれほど日常的にSNS型プラットフォームを使うのなら、日本で開発されて、運営・管理される新しいSNSがあれば素晴らしいが、なかなかハードルは高い。

 Xに代わるプラットフォームを作るという試みの背景には、こんな理由もある。2025年12月、Xは欧州デジタルサービス法(DSA)に基づく透明性ルールに違反したとして、1億2000万ユーロの罰金を科された。

特にXでは、偽情報などの問題が指摘されている(画像提供:ゲッティイメージズ)

 また、XのAIチャットボット「Grok」の競合である、Googleの「Gemini」やオープンAIの「DALL-E(ダリ)」は通常、性的な内容や暴力、著作権侵害、児童虐待に関するプロンプト(指示)を強力にブロックする。しかし、Grokは「表現の自由」を優先する方針を掲げていたため、他社が禁止しているような不適切な画像の生成が容易になっていたとして、欧州議会などで問題視されたのだ。

 デジタルプライバシーに厳しい欧州では、欧州議会議員54人で構成するグループが欧州委員会に対し、米国プラットフォームの代替サービスの支援を検討するよう要請。書簡では、ソーシャルメディア業界における欧州のイノベーション強化を次のように訴えている。

 「何百万もの欧州市民がXに縛り付けられている。明確な代替サービスが存在せず、これまでXで築き上げてきたデータや人間関係を簡単に移行させる方法もない。今こそ、支配的なソーシャルメディア・プラットフォームに対抗し得る、欧州独自の代替サービスを支援すべき時である。欧州委員会および欧州各国政府は、欧州発のソーシャルメディア・イノベーションを促進する民間プロジェクトへ資金提供を行うことで、この基盤構築を後押しできるはずだ」

 WはEUの公式支援を受けていないものの、EUは「技術主権」を推進しており、これは重要技術の海外への依存度低減を意味する。

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