言うまでもなく、日本でも同じような事態になっているといえる。総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ために最も利用するメディアについて、「インターネット」と回答した割合が最も高かった。さらにオンラインでニュースを知りたいときには、4割以上がSNSの情報を見ている。
テレビや新聞の利用者数が年々減少していることを鑑みると、今後もこの傾向は強まるだろう。となると、XやFacebookなどに依存しすぎることになる。これほど米国のSNSが独占していることを考えると、日本人の価値観もそれに左右されてしまう可能性もある。欧州が危機感を持つのは当然であり、日本も議論をきちんと始めたほうがいいだろう。
加えて、デジタル赤字についても指摘しておきたい。
日本では今、国民が毎日生活しているだけで、米企業に多額の料金を支払っている。スマホ、PC、メール、クラウド、サーバ、アプリ、配信サブスクなど――ほとんどが米国企業に牛耳られており、日本人は何も意識せずとも、米国にカネを送り続けている。これはデジタル赤字といわれるもので、日本は米国に対して、デジタルサービスだけで年間6兆円以上の赤字になっている。
こうしたデジタル空間のサービスについて、米国に依存しすぎている現実に目を向けるべきだろう。日本人はカネをどんどん米国に送っているだけでなく、個人のデータも献上しており、それが米国企業のビジネスに使われている。
このままでは、米国企業が自分たちの価値観をベースに商売目的で構築している「まな板」の上で転がされ続けることになる。国産回帰なども含めて、今一度、デジタル分野の在り方を議論すべきではないだろうか。
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
AI時代に人間らしい働き方を再設計する「ジョブ・クラフティング」のすすめ
【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】仕事の「やらされ感」を「やりがい」に変えるアプローチとして「ジョブ・クラフティング」が注目されています。AIが定型業務を代替する今日、人間は仕事の「意味」を再定義する力が問われています。高モチベーションな業務への集中にはAI活用による効率化も必須条件です。本講演では、職場のレジリエンスを専門とする研究者が、AI時代に従業員の意識と行動を変える実践論を解説します。
中国が切った「レアアース」というカード 日本企業への影響を読む
アサヒ、アスクルに続き、ジャガー・ランドローバーで何が起きた? 止まらないサイバー攻撃
日本人の給与は依然として安すぎる? 頭脳流出で国の未来は、本当に大丈夫か
“偶然”知り合った人物が実はスパイだった 日本企業の社員を狙うスパイの実態
BYDの“軽”が日本に上陸 エコカー補助金の陰に潜む“監視リスク”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング