生成AIと言えば、米OpenAIばかりが注目されがちだ。一方、米Anthropicが大企業向け市場で急成長している。米シリコンバレーのベンチャーキャピタルのMenlo Venturesによると、米国の大企業向けの大規模言語モデル(LLM)の接続料の市場で、Anthropicの市場シェアが2023年の12%から2025年の年央には32%と急拡大し、同市場で最大手となった。
一方でOpenAIの同市場のシェアは、2年前の50%から25%に急降下している。AnthropicのARR(年換算経常収益)は2023年が約1億ドルだったのが、2024年には約10億ドルで、2025年7月時点で推定45億ドル。1年で10倍ずつ拡大しているわけだ。
なぜAnthropicは、大企業向けの市場でこんなにも成功しているのだろうか。
学研が挑む"真のDX"──「本当に使われるデジタル」で目指す教育価値のバリューアップ
【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】学研グループは、DXを目的化するのではなく、現場と顧客にとって“本当に使われるデジタル”を出発点に教育価値のアップデートに挑戦しています。本講演では、現場で浮き彫りになった課題や、実際に行ってきた改善や仕組みづくり、そこで得られた知見がどのように学研のDX推進を形づくんできたのかをお伝えします。既存のデジタル活用の成果と学びを振り返りながら、学研が目指す“真のDX”の姿をご紹介します。
一つ考えられるのは、同社モデルのセキュリティの高さが大企業に評価されているからなのかもしれない。同社はOpenAIが米Microsoftからの出資受け入れを決めたことに反発したダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏を中心にした研究者グループが、OpenAIを退社して創業した会社だ。
OpenAIの幹部がAIモデルの安全性よりも巨大化を優先したことが、別会社設立の理由だとされている。このためAIモデルの安全性に関しては競合他社よりも熱心だというイメージがあり、事実Anthropicの大企業向けモデルClaude Enterpriseは、ユーザーが入力したデータをAIモデルの学習には利用しないと契約書の中で明記している。そのほか、SOC 2 Type 2・ISO 27001などの情報セキュリティに関する認証や監査報告を公開。日本企業が気にするP(プライバシー)マーク相当の運用体制も整備済みだ。
2つ目は、コーディング(プログラミング)の性能の高さだ。同社のモデルClaude Opus 4.1は、SWE-bench Verifiedというコード修正、バグ修正、機能追加などの能力を計測するベンチマークで74.5%という非常に高いスコアを達成しており、世界最高水準のコーディングモデルとされている。現場のエンジニアがコーディングの性能からAnthropicのモデルを好み、経営陣がセキュリティの観点からエンジニアが推すモデルを採用する、という構図のようだ。
それに加えて、同社に出資する米Amazonと米Googleのクラウドサービス上でAnthropicのAIモデルを利用できるようにしていることも、法人向けのシェアが拡大している理由の一つだろう。Anthropicの営業マンが大企業にセールスして回らなくても、アプリストアでアプリを選ぶ感覚で、クラウド上でモデルを選んでもらえるようになっている。
Anthropic自体も、特に法人向け市場に注力しているようだ。アモデイ氏は人気ユーチューバーのアレックス・カントロウィッツ(Alex Kantrowitz)氏の番組に登壇し、次のように語っている。
「私たちの考えでは、AIの企業利用はコンシューマー利用よりもさらに大きくなるのだろうと思います。ビジネスユースケースに焦点を当てた企業であることは、モデルをより良くするためのより良いインセンティブを私たちに与えると私は思います。性能を大学生レベルの知能から博士課程のレベルの知能に向上させても、消費者はあまり興味を示さないでしょう。でも製薬大手なら10倍の利用料を払ってくれるかもしれません」
何かとOpenAIと比較されることの多いAnthropic。売り上げ的には両社の差はどうなっているのだろう。ARR(年換算経常収益)の規模で見れば、OpenAIが依然3倍弱リードしている。しかし伸び率ではOpenAIが2年で7倍なのに比べて、Anthropicは45倍。アモデイ氏の言うようにAIの企業利用が消費者利用よりも大きくなるのであれば、2社の差がさらに縮小する可能性はありそうだ。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「大企業向けでAnthropicが急成長」(2025年8月13日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
湯川鶴章
AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。
【イベント情報】学研が挑む"真のDX"
学研グループは、DXを目的化するのではなく、現場と顧客にとって“本当に使われるデジタル”を出発点に教育価値のアップデートに挑戦しています。本講演では、現場で浮き彫りになった課題や、実際に行ってきた改善や仕組みづくり、そこで得られた知見がどのように学研のDX推進を形づくんできたのかをお伝えします。既存のデジタル活用の成果と学びを振り返りながら、学研が目指す“真のDX”の姿をご紹介します。
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