「静かな退職」はなぜ増えたのか 10年データで見えた働き方の変化(1/5 ページ)

» 2026年05月14日 08時00分 公開

 「仕事を通じて成長したい」という意識が、年々薄れてきている。パーソル総合研究所の「働く1万人の就業・成長定点調査」によると、「働くことを通じた成長が重要だ」と考える正社員の割合が、初めて7割を下回った。

 成長志向はピーク時から低下が続き、過去最低を更新。リスキリングや人的資本経営の重要性が叫ばれる一方で、現場の熱量は静かに下がり続けている。なぜ正社員は「冷めて」きたのか。10年分のデータをもとに読み解く。

photo 正社員の働き方や意識は10年でどう変化したのか?(画像はイメージ、提供:写真AC)

 成長志向の低下と並行して広がっているのが、「静かな退職」だ。会社を辞めるつもりはないが、がむしゃらに働かず最低限の業務だけをこなす状態を指す。

 本調査では「転職意向がない」「出世・昇進意欲がない」「プライベートを重視」「月の残業5時間未満」「サービス残業ゼロ」の全条件を満たす従業員を「静かな退職者」と定義しており、その割合は2017年の3.4%から2026年に5.8%となり、2.4ポイント上昇した。

photo 「静かな退職」も増えている(画像はパーソル提供、以下同)

 性別・年代別に見ると、女性やシニア層で割合が高い。同研究所シンクタンク本部の研究員、中俣良太氏は「育児や介護をしながら働く人は女性のほうが圧倒的に多く、静かな退職的な働き方をせざるを得ない状況がある」と分析した。

photo 女性やシニア層で割合が高い

 Z世代を中心に広がっているとの見方もあるが、「若いうちから残業を抑え続けて働くのは現実的に難しい」とし、実態は異なるとの見解を示す。人材の多様化そのものが、「静かな退職」を構造的に増やしているようだ。

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