棚で区切った奥のプレイスペースにも独自の仕掛けを施した。物販エリアを充実させて視界を限定し、あえて入口から「見通しづらく」したのだ。なぜか。
「店の広さをアピールできない、奥にある棚を見せられないといったリスクがあるかもしれませんが、プレイスペースに関してはチラッと見えるだけでいい。店に入ってすぐに全部が見えてしまうと、それで満足して帰ってしまうんです。ただ全く見えないと、それはそれで奥に入った時に怖さを感じてしまう。だから『チラッと』なんです」
探索欲を刺激する設計に加え、プレイスペースの椅子やテーブルにも投資して重厚感を演出。壁沿いの棚は商品箱が天井までずらりと並び、圧迫陳列でワクワク感を高めた。
「売り場も含めてプレイスペースへの入口だと考えています。ここ(売り場)に人が滞留する工夫をすればするほど、奥まで行った時に『中もあるじゃん』『遊んでみる?』となり、プレイスペースを利用する割合が高くなります」と伊東さん。相乗効果で両エリアとも売上高は増えていった。
多様な施策を高速で回し続けたことで、2024年からは月商250万円前後で安定するようになり、同年8月に初めて300万円を突破。さらに2025年11月に物販エリアを2倍近くに拡張すると、販売の数字が大きく伸び、クリスマスシーズンの同12月は過去最高の月商470万円に達した。現在の客層は地元客7割、観光客3割。経営の安定感は徐々に増している。
一方で、利益が積み上がる構造づくりは簡単ではない。ボードゲームは輸入比率が高く、円安の影響で仕入れ額が膨らみ、原価率が7割に達する商品もあるという。毎年多くの新作がリリースされるため、売り上げの多くは仕入れに回る。体験価値を高める内装や商品群の充実を図りながら、いかに利益を確保するかが次の課題となる。
伊東さんも現状に満足していない。「この立地のポテンシャルをまだ引き出せていない」という認識だ。今後実施してみたい施策を聞くと、アイデアが言葉になって次々とあふれ出した。
「ふらっと来た人がお土産用に買える商品を増やしたいです。あと、プレイスペースと物販のエリアの間にゲートを設けて、もっと中に入る特別感を演出したい。内装の強化は、次は床か、壁か、トイレか……。まだまだやりたいことはたくさんあります。ボードゲームは家でできるので、好きになればなるほど、こういったカフェから離れてしまう人も多くいます。『ここで遊ぶ』という体験の価値を高め、お店に来る人を増やしたいです。ここで培ったノウハウを那覇店にも取り入れて、あちらも盛り上げたいですね」
成果が出始めた今も、改善のサイクルを止めない伊東さん。未来を語る表情は実に生き生きとしている。まるで、ビジネスの要素を組み込んだ「サイコロ堂シーサイド」という名のボードゲームを楽しんでいるかのようだ。その遊び心は、これからも店舗の魅力を増す原動力になるに違いない。
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