「机の上だけの仕事にしたくなかった」 フジクラ、入社3年目の生産管理が"AI特需"を支えるまで教えて!あの企業の20代エース社員(1/3 ページ)

» 2026年05月27日 07時00分 公開
[仲奈々ITmedia]

教えて! あの企業の20代エース社員

 あの企業の20代エース社員にも「新卒1年目」の頃があった。挑戦、挫折、努力、苦悩――さまざまな経験を乗り越えて、今の姿がある。企業に新たな風を吹き込み、ビジネスの未来を切り開く20代エース社員の「仕事」に迫る。


 世界中で拡大する生成AIブームを支えている光ファイバーケーブルメーカーのフジクラ。データセンターの建設ラッシュに伴い、データセンター間をつなぐ通信網の整備で光ケーブルが必要になっている。

 同社は米ビッグテックから「指名買い」される企業であり、光ファイバーケーブルの増産に向け最大で3000億円の設備投資に踏み切るなど、注目を集めている(関連記事1関連記事2)。

 そんな同社の生産現場を支える一人が、光ケーブル製造部 業務課の蓮沼瑚々さん(25)だ。新卒で入社し、生産管理部門への配属となり、今年で入社3年目。2025年12月からは、クモの巣のような形状が特徴の、主力製品「Spider Web Ribbon」(SWR)の海外グループ会社向け輸出を担当している。

 世界の潮流の最前線で動くフジクラで、主要製品に携わる――。20代エースはこの価値をどのように捉えているのか。

photo01 フジクラ 情報通信事業部門 光ケーブル事業部 光ケーブル製造部 業務課 蓮沼瑚々さん(編集部撮影、以下同)

「知らないからこそ知りたい」 フジクラを選んだ好奇心

 蓮沼さんは、地元・北海道の大学で化学・生物学を学んだ。専門とする触媒化学分野では、化学反応の速度を速めたり、目的の生成物を効率よく得たりする「触媒」の構造・性質・反応機構を研究する。

 なぜ触媒の研究を選んだのか。蓮沼さんは「異質さ」を理由に挙げる。

 「触媒化学は、化学系の中でも異質と捉えられがちな分野です。世間からの認知度も高くはなく、当時の自分もよく知らなかった。だからこそ、知りたいと興味を持ちました」

 知っている人が少ないから、気になる。よく知らないからこそ、知りたい。この姿勢は就職での選択にもつながっていく。

 就職活動では、理系女子学生のための業界交流会に参加した。複数の企業の人事や女性社員が集まるイベントの中で足を運んだのが、フジクラのブースだった。

 もともと「世界と関わることができる企業」に入りたいと考えていた蓮沼さんが、フジクラに興味を持つまで、時間はかからなかった。

 「自分の仕事が世界中の人々の生活に貢献できる。そんな仕事に従事したいと考えていました。フジクラは、光ファイバーケーブル分野で世界トップシェアの製品を持つ。それを裏付ける、独自の高い技術力がある点などが魅力でした」

 フジクラが手がける製品は、蓮沼さんが大学で学んだ触媒化学とは無関係の分野だ。しかし「分からないものへの好奇心」がここでも決め手となり、生産管理職の採用面接を受けて2024年にフジクラへ入社した。

配属直後から続けた「現場との対話」

 入社後、蓮沼さんは現在も所属する光ケーブル製造部の業務課に配属された。最初に担当した業務は、国内通信キャリア向け光ファイバーケーブルの生産管理だった。これはデータセンター向けの光ファイバーケーブルと比べると、心数が少ない。

 「心数」とは、1本のケーブル内に収容されている光ファイバーの本数を指す。蓮沼さんが当時担当したケーブルの心数は数十本程度。一方、データセンター向けのケーブルには、1万本以上の光ファイバーが詰め込まれている。

 「心数が多くなるほど、光ファイバーの生産状況や材料の在庫を、より細かく追っていく必要が出てくるため、生産管理の業務も難しくなります。まずは、心数の少ない製品で生産管理のプロセスを学びました」

 一から生産管理の業務を学ぶ上で、どのようなことを意識していたのか。

 「心掛けていたのは、製造現場の声を多く聞くことでした。実際に工場に行って、現場の主任に『この工程は実際にはどう動いているのですか?』『生産管理から現場への依頼方法について、要望はありますか?』など質問をしていました」

 自ら現場に飛び込んでいく背景には、生産管理という仕事へのポリシーがあった。

 「生産管理という仕事は、極端な言い方をすると机の上だけで完結します。現場に足を運ばなくても、業務自体は回せる。でも、現場を知れば“よりよい方法”が見つけられるかもしれないと考えました」

 数字だけを眺めていても、現場で実際に何が起きているのかは見えてこない。自分の目で確かめに行き、改善策を考えたいとの思いがあった。チャットやメールよりも、電話をする。時間に余裕があれば直接話を聞きに行く。蓮沼さんが配属直後に決めた、自分なりのルールだ。

 「現場の方々と日々顔を合わせて話していると、自分一人ではたどり着けなかったような発想をもらえることがあります。それがとても大きな学びになっています」

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