蓮沼さんは「現場との対話の価値を実感した出来事がある」と話す。
ある日、生産管理部門に1本の電話が入った。輸送トラブルで出荷予定の製品に必要な資材が納期に間に合わないとの連絡だった。
「その話を聞いたとき、私は『急いで製造スケジュールを変えなくては』と思いました」
しかし、それを製造の現場に伝えたところ返ってきたのは、製造側で工程に工夫を加えることで、通常通りのスケジュールで納品できるという提案だった。
「日々製品と向き合っている現場の方だからこそ、思い付く解決策でした。ただ、その方法を採用すると現場では作業が増えてしまいます。それでも『これで納期を守れるなら、やるよ』と言っていただけました」
現場からこのような提案があったのも、日頃から相談し合える関係を築けていたからこそ。配属直後から続けてきた現場とのコミュニケーションが、納期遅延という危機を防いだ出来事だった。
2025年12月から、蓮沼さんは海外向けのSWR輸出担当に任命された。米国のグループ会社であるAFL(America Fujikura Ltd)向けに、ケーブル化する前のSWRを輸出する業務を1人で受け持つことになった。
SWRは、フジクラが独自に開発した光ファイバーリボン(光ファイバー同士を一定間隔で接着したもの)で、データセンター用の光ケーブルに使われている看板技術の一つだ。「生成AIブーム」で需要が爆発的に高まっている製品としても知られている。
「2年目も後半を迎え、仕事に慣れてきたタイミングでした。上司から『新しい挑戦をしてみないか』と機会をもらいました。話題の製品の担当者となるのは不安もありましたが、期待に応えたいと思い、挑戦することを決めました」
しかし、海外向け製品の業務量は、これまで担当してきた国内向け製品とは大きく異なった。
「国内向けの少心ケーブルを扱っていた頃は、必要とする光ファイバーの量は会社全体から見ればごくわずかで、供給量について気にすることはほとんどありませんでした。海外向けSWRを担当し、扱う光ファイバーの量が一気に増えました。そのため、現在は光ファイバーの供給状況を細かく追う必要があります」
加えて、海外輸出ならではの業務もある。船便か航空便かの選択、船便の場合の積み込み方法、輸送ルートの選定など、業務が一気に増え、最初は戸惑うことも多かったと話す。
業務が変わり半年が過ぎた現在、蓮沼さんには新しい習慣ができたという。
「海外情勢などのニュースを、意識的にチェックするようになりました。例えば最近のホルムズ海峡を巡る情勢なども、私の仕事に直結します」
「自分の仕事を通して、世界中の人々の生活の質向上に貢献したい」との思いを持って入社した蓮沼さん。今、仕事を通じて世界とのつながりを実感している。
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