外国人労働者を雇用する場合、企業は税金や社会保険料についてどう対応すればいいのでしょうか。
外国人労働者の税金は、日本での居住実態が居住者か非居住者によって異なります。日本に1年以上住む居住者は、日本人と同じく所得税と住民税を納め、年末調整の対象となります。
1月1日時点で日本に住所がある場合は、前年の所得に対して翌年から住民税が課税されます。それに対して、非居住者は、源泉徴収のみで完結します。なお、外国人労働者は二国間で締結される租税条約によって税金が免除されるケースがあります。
社会保険についても、日本で働く外国人労働者は国籍や在留資格に関わらず、原則として日本人と同じ条件で社会保険への加入が義務付けられています。会社は本人の希望に関わらず、加入要件を満たす外国労働者を社会保険に加入させる義務があります。日本年金機構では、外国人労働者のために各国語での説明資料を用意しています。
税金と同様に二重加入(母国と日本両方での保険料支払い)を防ぎ、将来の年金受給資格を確保するために、日本は特定の国々と社会保障協定(Social Security Agreements)を締結しています。
年金をもらうためには、10年以上の年金保険料納付済み期間が必要ですが、その前に帰国してしまうと保険料は掛け捨てになってしまいます。そこで、支払った年金保険料の一部を払い戻しする脱退一時金という制度があります。
最低賃金についても全ての外国人労働者に適用されます。母国との賃金差や本人の同意があっても無視できません。「外国人だから日本人よりも安く雇用できる」と考えている経営者がいるかもしれませんが、その認識は誤りです。
日本で働く以上、どの在留資格であっても労働基準法は適用されますし、要件を満たせば社会保険にも加入させなければなりません。本人が加入したくないと言った場合でも、社会保障協定があるかを確認した上で加入させる義務があります。
これまで外国人労働者を雇用したことがなかった企業でも、状況において新たに採用する可能性もあります。「日本人よりも安い賃金で働いてくれる」「社会保険などに加入させなくて済む」という安易な考えで検討するのはやめた方がよいでしょう。
また外国人労働者は、同国人のネットワークや口コミを重視する傾向があります。報酬を重視するドライな印象が強いですが、人とのつながりを重視するので、一人が定着すると採用費をかけずに人が集まるようになります。そのためにも働きやすい環境を作る努力が必要になります。
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
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