図書館で借りた本の記録を、銀行通帳のような冊子に印字して記録できるサービスがある。IT商社の内田洋行が開発した「読書通帳」だ。2010年に山口県下関市の市立中央図書館への導入を皮切りに、現在は全国で100台以上が稼働している。
読書通帳はどのように使うのか。読書通帳機に自分の通帳を挿入すると、自動的に現在貸出中の書籍名、著者名、貸出日が印字される仕組みだ。図書館が管理している蔵書データを参照し、記帳している。
読書通帳に記録する項目はカスタマイズ可能で、本の金額を項目として追加している図書館もある。図書館で本を借りて読むことがどれだけの価値になっているか、どれだけ有効に図書館が利用されているかを、金額という形で実感できる仕様となっている。
読書通帳の運用は各自治体に委ねられている。子ども限定で読書通帳の追加発行を無料に設定している自治体もあれば、発行対象を大人にまで広げている自治体もある。
通帳という形で貸出記録を可視化する点が読書通帳のユニークなポイントだが、この発想はどこから生まれたのか。
内田洋行の坂東紀典氏(ユビキタスライブラリー部 部長)は「下関市で図書館を含む複合施設の計画に携わることになった際に、『まだどこにも導入されていない、利用者に喜ばれる新しいシステムを考えたい』というリクエストを受けました。当時、付き合いがあった韓国のパートナー企業から、韓国では『読書通帳機』の活用が始まっていたことや、読書通帳が子どもたちの読書推進や学校教育での活用に役立っているという事例を聞きました。そこで、日本版への開発を依頼し、下関市に導入しました」と説明する。
現在、全国で100台以上が稼働しており、子どもの読書推進を目的とした導入が多いという。
「お子さんが生まれた住民に対して読書通帳を無償提供したり、新小学1年生に配布したりする自治体もいらっしゃいます。小学校高学年から中学生にかけての世代で読書量が減る傾向にありますが、これ以前の世代で読書の楽しさを体験してもらうことで、その後の読書離れへの対策としています」(坂東氏)
実際、読書離れは子どもに限らず、全世代で進んでいる。文化庁が2024年に実施した「国語に関する世論調査」(PDF)によると、1カ月のうち全く本を読まないと回答した人は62.6%と、過去最高に上った。特に10代は顕著で、7割以上が読書離れを実感している。
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