A: 会社において、長年、お菓子配りの慣習があるとしても、それに参加するかどうかは、従業員の自由に委ねられていると考えられます。
お菓子を受け取るよう促しただけで、直ちに違法なパワハラにあたることはありませんが、職場の良好な人間関係を維持するためにも、若手社員の意思に反して「おやつタイム」への参加を強いることはやめましょう。
ただし、業務を円滑に進めるため、一般に従業員には協調性を保つことが求められ、従業員の協調性に欠ける行動が目立つ場合、会社が指導することは当然に許されます。
しかし会社が従業員の私的な領域に立ち入ることは、状況によっては違法なパワハラにあたる可能性もあります。
相談事例にある「おやつタイム」については、そこに参加しない従業員がいたとしても、直ちに職場の和が乱されるわけではないと考えられます。その従業員が、業務命令に従い、チームで取り組む仕事にも適切に周囲とコミュニケーションをとりながら参加しているのであれば「協調性に欠ける」と評価することはできず、上司として「おやつタイム」への参加に関する指導は避けた方が良いでしょう。
パワハラとは「職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)のすべての要素を満たすもの」とされています。
そして(2)業務上の必要性や相当性については、問題となった言動の目的、経緯、状況、態様、頻度、継続性、言われた側の従業員の属性や心身の状況、行為者との関係性などを総合的に考慮して判断されます。
パワハラには、典型的な6つの類型があります。(1)身体的な攻撃、(2)精神的な攻撃、(3)人間関係からの切り離し、(4)過大な要求、(5)過小な要求、(6)個の侵害です。
「(6)個の侵害」とは、従業員のプライバシーに干渉することであり、例えば、
などが問題になります。
従業員の私生活上の問題に、一定の助言をすることは違法ではありません。しかし、
などを総合的に考慮したとき、社会通念に照らし「度を越えている」場合、違法という評価になります。
実際、過去の裁判例の中には「部下が諸々の事情を考慮したうえ、自らの責任において……自主的解決に応じないことを確定的に決断している場合に、上司がなおも会社や自らの都合から、会社における職制上の優越的地位を利用して、……和解などに応じるよう執拗(しつよう)に強要することは、許された説得の範囲を超え、部下の私的問題に関する自己決定の自由を侵害するもの」と評価し、会社の行為を違法と判断した事案があります(参考:横浜地裁1990年5月29日判決)。
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