【相談】せっかくのお土産を「ダイエット中」と拒絶する部下。チームの和を考えない新人に戸惑っていますQ&A:これってハラスメント?(3/3 ページ)

» 2026年03月19日 08時00分 公開
[佐藤みのりITmedia]
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相談者の「一言」は問題か?

 相談者の事例では「これは単なるお菓子ではなく、チームの和を乱さないためのマナーだよ。角が立つから、せめて形だけでも受け取っておきなさい」と注意したということです。

 一度このような注意をしただけで、社会通念上、過度な私的領域への介入とまでは評価されないでしょう。そのためこの一言により、違法なパワハラとは評価されないように思います。

 しかし、注意を受けた従業員が「嫌なものを無理やり押し付けられた」「個人の好みを尊重してくれていない」など精神的苦痛を訴えている本件において、さらに「おやつタイム」への参加を促すことは避けた方がよいと思われます。

 そもそも「おやつタイム」は職場を和ませるコミュニケーションの一つとして、長年取り入れられてきたものであり、目的は、職場の円滑な人間関係を維持することにあります。

 それがきっかけで、職場内で分断が生まれることは好ましくなく、あくまで任意参加の慣習として、参加したくない者は気軽に断れる雰囲気を作ることも大切であるように思います。

 こうした任意の慣習に従わないばかりか、業務においても協調性に欠ける場合には別途、対策を検討する必要があります。仕事はできるけれども、協調性に欠け、周囲に対し高圧的態度をとったり、自分の主張の正当性に固執し、周囲の意見に耳を貸さない従業員はいます。

 そうした従業員に対しては、まずは注意・指導することが重要です。その従業員に足りないところを補うような研修を受けさせることも有効でしょう。

 それでも態度が改まらない場合には、就業規則に基づき、組織としての規律・秩序を乱したことなどを理由に、けん責などの軽い懲戒処分を下したり、配置転換などを検討したりすることになります。

 それでも改善がみられない場合には、適切な退職勧奨を行うのも一つの方法です。このように段階を踏んで対応したにもかかわらず、協調性に欠ける行動が継続するような事案では、法的に正当な解雇が認められる可能性が高いです。

※当記事の相談内容は、編集部が想定した架空のケースをもとに作成しています。

佐藤みのり 弁護士

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慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。ハラスメント問題、コンプライアンス問題、子どもの人権問題などに積極的に取り組み、弁護士として活動する傍ら、大学や大学院で教鞭をとり(慶應義塾大学大学院法務研究科助教、デジタルハリウッド大学非常勤講師)、ニュース番組の取材協力や法律コラム・本の執筆など、幅広く活動。ハラスメントや内部通報制度など、企業向け講演会、研修会の講師も務める。


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