シニアはなぜ生かされないのか 生涯賃金15%増の会社が変えた“処遇”(1/5 ページ)

» 2026年03月23日 10時35分 公開

 労働力に占めるシニアの割合が増えている。65歳以上の就業者数は930万人に達し、就業者全体の7人に1人を占める(総務省の統計)。しかし、その力を企業は十分に生かしきれているだろうか。

photo 働くシニアは増えているが、企業は生かしきれているのか(画像はイメージ、提供:写真AC)

 パーソル総合研究所の調査によると、60代社員を「過剰」「やや過剰」と認識する企業は、合わせて35.6%に上る。原因は人数ではなく、給与を60歳で一律に引き下げることで生じるモチベーションと生産性の低下にある。

photo 3社に1社が60代社員を「過剰」と認識(画像はパーソル総合研究所より引用、以下同)
photo 人材の過剰感は「モチベーション」「生産性」に起因

 60歳での処遇見直し時には、8〜9割の企業が年収を引き下げ、その低下幅は平均28%に上る。見直し基準は「全員一律」が3割を占めるが、60代前半では約4割、65歳以上では約5割が、ほぼ同じ職務内容であるにもかかわらず給与だけが下がっている。

 さらに、低下幅が大きいほど、企業がモチベーション低下を課題として挙げる割合も高まる。

photo 60歳での処遇見直し時の低下幅は平均28%
photo 見直し基準は「全員一律」が3割

 意欲の低下は生産性に直結し、それが「シニアは戦力にならない」という企業側の認識を強める。制度が生んだ問題を個人の能力の問題にすり替えてしまう。この負の循環こそが、シニア活用の最大の壁だ。

 一方で、約7割の企業が高度専門職レベルの人材不足を感じているにもかかわらず、50〜60代はその担い手として期待されにくい。人手は足りないのに、シニアの力が生かされていない実態がうかがえる。

 この課題に対し、処遇と配置の両面から制度の再設計に踏み切った2社に話を聞いた。

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