自動車ディーラーの収益構造の変化には、就労環境も影響している。働き方改革により残業時間が制限され、メカニック1人当たりの作業量も限られるようになった。
さらに、ディーラーメカニックを養成する整備士の専門学校は、かつての時代と比べると生徒数が半減している。少子化だけでなく、大学進学率の上昇、IT産業の発展なども影響しているのだろう。
ディーラーの収益の要は、かつては新車販売だったが、販売競争の激化でサービス部門の方が収益性が高くなった。しかし最近はメカニック不足、残業制限などでサービス部門の売り上げは低下。クルマは納期が重視され、値引きが減少しているため、新車販売の収益は回復傾向にある(写真:Adobe Stock)そのため、整備業界ではメカニック不足が長期的な問題となっている。クルマの電動化によって構造が複雑化した一方、従来の駆動系や足回り、電子制御などもメンテナンスや修理が必要なことは変わらないのだ。
ディーラーでは、メカニックでなければできない作業以外の雑務や軽作業を非正規労働者に依頼するなど、人材の振り分けも進めてきた。
生成AIの普及によりホワイトカラーの仕事が減少傾向にある一方、ブルーカラーの職業が見直されており、メカニックの待遇改善につながる可能性もある。
そういった要素を加味すれば、今後メカニックの減少はある程度食い止められるかもしれない。一方、ディーラーの拠点数削減、修理施設の大規模集約化はますます進んでいくだろう。
ガソリンスタンドも、燃料を販売するだけでなく、車検やタイヤ販売、最近は中古車販売や買い取りなど、クルマ関連のサービスを拡充しつつある。ディーラーもこれまで以上に取り扱うサービスを拡大していくだろう。
今後も自動車業界は、ゆっくりとユーザーとの接点を模索しながら変化していきそうだ。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://effectcars.com)、クラシックミニ専門サイト(https://classicmini.jp)を主宰するほか、ベストカーWeb、Yahoo!ニュース、ITmedia ビジネスオンラインなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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