自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
「申し訳ないのですが、広報車は用意できていないんですよ。あまりにも注文が殺到したものですから、試乗車などに回すより、1台でもお客さまにお渡ししなければならない状況なんです」
そう申し訳なさそうに説明してくれたのは、スズキの広報担当者だ。
ジムニーノマドは、2026年1月末に一部仕様変更を実施し、停止していた受注を再開。そろそろ広報車の利用も落ち着き、ゆっくり借りられるのではないかと問い合わせたところ、上記の回答だった。
2025年後半、ブランド別販売台数ランキングでジムニーの順位が急浮上した。これには軽自動車のジムニーは含まれないので、ジムニーシエラと4ドアのノマドだけでたたき出した数字だ。しかし、これがノマド人気だけで支えられていると捉えるのは早計だ。
ジムニーシエラ自体、現行モデルがデビューした2018年以来、高い人気を維持し、ブランド別販売台数ランキングでも25位前後をキープしていた。だが2025年9月以降、登録台数を1.5倍程度も増やし、ランキングを10位ほど押し上げたのだ。
スズキは、ジムニーノマドのあまりの人気ぶりを受け、2025年7月から日本向けの生産台数を月産3300台に増やした。納車ペースを早めたことで登録台数が増加しているのである。
この調子なら、年間販売台数でもソリオを抜いてスズキの普通車でナンバーワンとなりそうな勢いである。それでも、ソリオは実用性や居住性の高さから、需要は手堅い。そして、ジムニーノマドも納車が進めば需要は落ち着いていくだろう。
しかしながら、ジムニーの人気が今後も続く可能性は高い。その背景には、ジムニーというモデルが刻んできた歴史の特殊性がある。
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