「誠実な企業に入りたい」── 若者争奪戦が激化する中、そう漏らす学生が急増しています。
こうした傾向は、リクルートマネジメントソリューションズが実施した「採用CX(候補者体験)に関する意識調査(2025)」からも読み取れます(以下、抜粋し要約)。
いかがでしょうか。企業側は「若者に好まれる企業」になるため、必死かつ誠実にあの手この手で“メニュー”をそろえているのに、なぜ「誠実さ」を求めるのか? 待遇を良くするのは「誠実ではない」と思われているのでしょうか?
企業が選ぶ側から「品定めされる側」へと転じた今、学生が切望する「誠実さ」の正体を考察してみましょう。
最初に思い浮かぶのは「学歴フィルター」です。
日本経営者団体連盟(2002年に経済団体連合会と統合、現・日本経済団体連合会)は、1990年代後半に「採用選考に関する企業の倫理憲章」を制定。1953年から40年以上続いた就職協定の廃止を宣言するとともに、企業には「いつ、どのような形で採用活動・選考活動を行うか」を公開するよう求めました。それまで脈々と続いていた一流大学の学生の「青田買い」を禁止し、学歴社会との決別を宣言したのです。
ところが、その後も企業はあの手この手で、一流大学の出身者確保を試みました。学歴主義はなくなるどころか、完全に「ブラックボックス化」しました。就職活動は年々画一化され、デジタル化が進み、企業は欲しい大学の学生をフィルタリングできるようになりました。
フィルタリングするのは「人」ではなく「システム」ですから、差別する側にも、される側にも生々しさがありません。完全にブラックボックス化しているので、企業は「知らぬ存ぜぬ」で簡単に否定できます。
学生も学歴で差別されている気がするけれど「差別された自分の学歴」を受け入れたくない気持ちがあるので、「これって学歴フィルターじゃない?」と釈然としない気持ちをSNSで発信する程度です。
「差別は『する側』の問題なのに、なぜ俎上(そじょう)に載せるのはいつも『差別された側』なのか?」という理不尽を、今の学生は感じてきた。それに追い打ちをかけたのが、同じような黒いスーツであちこちを駆け回る企業訪問です。
本当は「自分らしく」ありたい。「本当の自分」を見てほしい。「自分」のことをきちんと評価してほしい──。格差社会で生きていく若者たちの生きづらさが、大人や企業に突き付けたのが「誠実さ」ではないのでしょうか。
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