2024年12月にAI推進委員会を立ち上げたMIXIは、各事業部にAIアンバサダーを配置した積極的なAI活用に取り組み、その成果として「全社AI活用率:99%」「月間削減時間:約1万7600時間」「削減効果:年間約10億円」を公表している。
音楽著作権やキャラボイス権利の調整、多言語翻訳などの専門的な領域で、同社のさまざまな事業部の業務をサポートする「はたらく環境推進本部 ビジネスサポート室」では、AI活用を進めた結果、6カ月で累積2000時間の削減を実現した。
組織にエンジニアは一人もおらず、AIやDXに詳しいメンバーもいなかったため、最初は「AIに自分の仕事を奪われたくない」「AIがなくても回っているのに、なぜ使う必要があるのか分からない」といった声も上がったという。
MIXI ビジネスサポート室はこの壁をどう乗り越えたのか。そして、AIを活用してどのように「2000時間」もの業務削減を実現したのか。
本記事は、2026年3月27日にMIXI社オフィスで開かれたイベント「MIXI MEETUP!AI DAY 2026」のセッションの中から「『AIって、どう使ったらいいの?』から始まった私たちの12カ月。非エンジニア集団が2,000時間を創出し、未来の自分へ投資するまで」の内容を紹介する。
ビジネスサポート室は、各事業部門からの依頼に応じて、音楽著作権やキャラボイス権利の調整、多言語翻訳、アプリリリース支援、ナレッジや制作物再利用の運用といった専門的な業務を担っている全社横断組織である。
室長と22人のメンバーで構成されているが、そのうちエンジニアは一人もおらず、AIやDXにも明るくなかった。そのため、全社的なAI活用が始まっても、変化に対する抵抗感から利用が進まなかった。AIなしでも業務は回っているのに、なぜAIを使わなければならないのかと反発があったり、AIのアウトプットに対する不信感があったりするような状況だった。同室 アプリサービス渉外グループの真田匡朗氏は「初めから順調なわけではなかった」と振り返る。
AIありきで「とにかく使ってください」と訴えるだけではダメ。何のためにAIを業務に取り入れ、AIで時間削減した先に、何があるのか。「特に、われわれのような非エンジニアにとっては、活用方法やテクニックよりも、マインドセットを変えることのほうが重要だった」と真田氏は語る。
同社が取り組んだのは「アプローチの転換」だ。
「ビジネスサポート室の役割は、仕事と仕事をつなぐこと。専門性は異なれど、共通して重要なスキルは“コミュニケーション”であり、それはAIに代替できない」(真田氏)
業務内容を洗い出し、AIで効率化できそうな「定型業務」とヒトがやるべき「非定型業務」を再定義した上で、AI時代に求められる付加価値を見いだすこと。そして、AIで削減した時間でコミュニケーションスキルを磨き、コミュニケーションのプロ集団を目指すこと──この2つをビジネスサポート室の「AI活用宣言」として掲げ、1人1日1時間を目安に、半年で1573時間の削減目標を掲げた。
このアプローチの転換によって、メンバーが前向きに取り組めるようになった。その結果、6カ月で累積2000時間の削減を実現。対目標比127%で達成し、ビジネスサポート室が対応する案件数も、対前年比136%に増加している。
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