NECは4月16日、有価証券報告書における「サステナビリティー情報」の開示業務にAIを活用して、工数の93%を削減したと発表した。気候変動による事業リスクや戦略といった非財務情報の開示が2027年から段階的に義務化されるのを前に、実務担当者の業務負荷を下げる狙いがある。
NECで気候関連の開示業務に携わる井上信也氏(環境企画推進グループ ディレクター)は、4月16日の記者説明会で「開示基準の理解が大変でした。『この項目はこれを意味する』と読み解いて、Excelに整理する地道な作業に取り組みました」と初期の対応を振り返る。
同社は、この課題の解決にAIを活用した。業務工数の93%を削減した、NEC流のAI活用方法とは。
サステナビリティー情報の開示について、日本ではサステナビリティー開示基準委員会が「サステナビリティー情報の開示基準」(SSBJ)を公表している。NECは今回、温室効果ガス排出量や気候リスクに関する「気候関連開示基準」(第2号、S2)の対応にAIを適用した。
同社によると、SSBJに対応するには関連文書などを合わせて約1300ページの資料を理解する必要がある。文章の表現が難解で、専門知識がないと読み解くのに時間がかかるという。さらに、法務や財務など複数の部署から情報を集める必要があるなど、開示業務の効率化が不可欠だったと井上氏は話す。
NECは、開示業務を5つのプロセス――「開示基準の読み解き」「社内情報の探索」「社外情報の探索」「文章の執筆」「チェック」に分割して、それぞれに特化させたAIを開発した。
「1300ページある文書全てを一つずつ見ると何十時間もかかります。AIに読み解いてもらったり開示文書のドラフト案を渡して不足事項をAIに指摘してもらったりすることで、効率化が図れました」(井上氏)
基本的な作業をAIに任せて、人間は社内関係者との調整や文章のブラッシュアップに集中できるという。AIを使うことで、担当者の知識や経験に左右されず有価証券報告書の品質を毎年一定に保てると井上氏は説明する。
同社は、開発したAIを「サステナビリティー経営支援サービス」として2026年度中に提供する予定だ。SSBJのS1への対応やエージェンテックAIによる仕組みの高度化も目指す。サステナビリティー情報の開示義務化が順次始まる中、AIによって業務負荷の低減につなげられるか。
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