“大企業病”に悩む企業が多くある。事業の拡大に伴って、組織の細分化や縦割り、人間関係の希薄化などが広がり、成長の足かせになってしまう。この課題にNECも直面していた。
「大企業の強みは、どんな分野の専門家でもほぼいることです。しかし、それ(どんな専門家がどこにいるか)が分からない。そこを解決してイノベーションを生み出したい」――同社で最高AI責任者を務める山田昭雄氏(執行役 Corporate EVP兼CAIO)は、4月7日のメディア向けイベントで思いをこう述べた。
この組織課題に、NECは「テクノロジー」で挑もうとしている。同社が同日に開設した事業拠点には、AIでコラボレーションを促進したり、顔認証技術やIoTセンサーのデータを生かして社員のパフォーマンスを引き出したりするなど、ITを活用した仕掛けがちりばめられていた。
“AIパーク”とも呼べる新拠点は、大企業病を打破してイノベーションを生み出せるのか。その内部を取材した。
川崎市に建てられた新拠点「NEC Innovation Park」は、AI活用を前提とした研究や働き方を見越して構想されている。同社の最高執行責任者、吉崎敏文氏(執行役 副社長兼COO)は「AIをふんだんに活用しています」「私は『AIビル』『AIパーク』と呼んでいます」と紹介した。
NEC Innovation Parkでは、研究者やITエンジニアなど約4000人が働く。建物の大半がフリーアドレス席や交流スペースになっており、12階建てのビル中央にある吹き抜け階段を使って自由に移動可能。「多様な専門知をかけ合わせてイノベーションを起こす」「研究者と事業部メンバーが交流して新たな価値を創出する」狙いがある。
建物内の“物理的な壁”を取り払っただけでは、冒頭で述べた「専門家がいてもつながれない」という“組織の壁”は壊せない。そこでNECは、AIエージェントが社員同士をマッチングする「AIコミュニティマネージャー」を開発した。
AIコミュニティマネージャーに顧客ニーズや業務課題を入力すると、それを解決するのに役立つ「会うべきキーパーソン」「NECの技術や製品」「社内のプロジェクト」などを提案してくれる。「Microsoft Teams」と連携させており「相談する」ボタンを押して推奨された人物とチャットやWeb会議が可能だ。
Webブラウザで利用できる他、NEC Innovation Parkの各所にタブレットを設置して気軽に利用できる環境を整えている。将来的には社外のキーパーソンともつながれるようにする考えだ。
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