太秦映画村が生まれ変わった なぜ、R-18の“拷問部屋”までつくったのか(5/5 ページ)

» 2026年04月21日 07時00分 公開
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温浴施設も導入して「一日中遊べるパーク」へ

 リニューアルは3段階で進行する。2027年春の第2期では遊郭ゾーンが新たにオープンし、飲食・物販の5店舗が加わる。2028年春の第3期では芝居小屋「中村座」(仮称)が開業予定で、映画村の入場料を払わずに参加できる単独イベントやライブを開催し、そこから映画村への来場につなげる構想も描いている。さらに、その先には温浴施設の導入も予定している。

 「お風呂で汗を流した後、浴衣を着て江戸の町を歩きながらビールを飲む。そんな過ごし方を提案できれば、映画村の楽しみ方は何倍にも広がる」と喜多氏は語る。

photo 今後も施設を順次拡充していく(画像は筆者撮影)

 立地面での仕掛けも視野に入れる。映画村は観光地の嵐山とJR京都駅の間に位置しており、嵐山観光を終えた客が帰路の途中で立ち寄り、ナイトコンテンツを楽しむ流れを作りたい考えだ。観光客を分散させることができれば、京都のオーバーツーリズム対策としても機能する。

 収益面では、2027年春以降に入場料の改定を検討している。今年度は集客を優先して据え置いたが、動員増に加えて飲食や文化体験を含めた客単価の向上で、150億円の投資回収を見込む。

 京都の観光といえば、寺社仏閣を中心とした「見る」体験が多く、来場者が物語や空間に入り込める没入型の大型施設は少ない。2025年10月には「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」も開業したが、R-18コンテンツや俳優との参加型体験を軸にした施設は映画村以外に見当たらない。この強みを訴求できるかが、勝負どころだろう。

photo 映画村が果たす役割(画像は筆者撮影)

 一方で、映画村にはエンタメ施設にとどまらない役割もある。パークのショーに出演する大部屋俳優たちは、時代劇撮影にも欠かせない存在で、映画村の仕事で安定した収入を得ることが俳優業の継続を支え、撮影所への人材供給にもつながる。

 コロナ禍で引退や廃業を余儀なくされた俳優も多い中、映画村が雇用の受け皿となることで時代劇文化の存続を下支えしている。エンタメ施設であり、日本映画の制作現場を支える存在でもある太秦映画村。150億円をかけたリニューアルは、太秦の次の50年を見据えた挑戦でもある。

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